「痛み」の不思議

私が退職後旅行した4年間に悩まされた「痛み」について
・腰痛 …… 重い荷物を背負い徒歩旅で発生。他に長時間腰掛で発生
・膝痛 …… 自転車旅行中盤に転倒し膝を強打して発生
・足裏痛 … 徒歩旅行での長時間歩行で発生
・足先痛 … 登山の下山時に靴先に足先が当たることを長時間続けて発生
・裂傷痛 … 主に登山中に転んだり樹や岩に身体をぶつけて発生
・腹痛 …… 旅行中の汚染飲水による下痢
・脇腹痛 … 徒歩旅行時の飲水不足又は歩き疲れで腎臓周りに発生
・他痛 …… 自転車旅行時の長時間同一姿勢による臀部痛や手首痛
     登山で転倒し突き指したことによる痛み
     暑さ又は寒さが辛いときの苦痛?

読書やネット検索や自分で思索したことを少しまとめてみたい。
(なお情報整理の際に簡略化したため記述の正確性の低下をお許し願いたい)

1 痛みはなぜ発生するのか
「先天性無痛性のカナダの女子学生」の例
彼女は高い知性の持ち主。生まれてから痛みを感じた経験が無いこと以外は正常。
頭痛、歯痛、胃痛、生理痛の経験が無い上に、痒みの経験も無し。
彼女は関節を損傷しても痛みがないまま動かし、広範な感染症で29歳の時死亡。
【参考】「痛覚のふしぎ」(伊藤誠二著、講談社ブルーバックス57頁)
痛みは本来自分の身体に迫った危険などを知らせる大事な信号。
一方で痛みは人間に不快感を与えるため手術や出産の痛みを麻酔で除く例もある。
また長期腰痛等の慢性痛は危険信号の役割を失い原因不明で人を苦しめている。
痛みは自分だけが感じ他人には伝わらず痛みの度合も十人十色で個人差大。

2 痛みの種類
(1) 期間による分類
 初期痛 針を刺したり熱湯に触れた時に起こる一時的な一過性の痛み(初期)
 急性痛 炎症反応や手術後の痛み等の一定期間で消失する痛み(1週間~3カ月)
 慢性痛 関節リウマチ、帯状疱疹神経痛、腰痛等(3カ月以上)
(2) 身体部位による分類
 体性痛 皮膚や筋肉の痛み(腰痛、肩こり等)
 内臓痛 内臓や内臓膜が刺激される痛み(腹痛等)
 関連痛 内臓痛が身体の別の部位に波及する痛み(狭心症の腕痛、虫垂炎の腹痛)
【参考】「痛覚のふしぎ」(伊藤誠二著、講談社ブルーバックス28頁~)
自分が経験した痛みは初期痛や急性痛から慢性痛に移行する痛みや時々現れる痛み。
旅行では専ら皮膚や筋肉の体性痛が気になったが内臓との関係を疑った時もある。

3 痛み発生の仕組み
(1) 痛みが伝わる経路
 体内の受容体(センサー)で異変感知 → 受容器(電気信号変換) → 神経 →
 脊髄 → シナプス(電気から化学信号変換) → 神経 → 脳(最終的痛み感知)
(2) 痛みの起因の物質
 針を体に刺した時に、針が直接体受容体(センサー)に痛み信号を伝えるのではない。
 針を刺した損傷箇所ではカリウムイオン、水素イオン、ATP等が発生する。
 更に血中ではセロトニン、体細胞からはヒスタミン等が発生する。
 その他のも体内でプロスタグランジンやサイトカイン等が発生し痛みを発する。
【参考】「よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ」(伊藤和憲著、秀和システム)
痛みは直接感知するのではなく何段階か経た経路を伝わり最終的に脳が感知する。
また痛みの信号も体内で化学信号や電気信号が発生することで伝達される。
冒頭の女子学生の例でも信号の産生や伝達に問題が起これば痛みは感知されない。
換言すれば体内に異変が無くても化学信号が作られ伝達されれば痛みを感じる。

4 痛みと外的要因
(1)「天気が悪いと古傷が疼く」
 雨→低気圧→交感神経亢進→血中ノルアドレナリン増加→痛み神経刺激
(2)「ストレスがあると痛みが増す」
 ストレス→下垂体前葉からATCH分泌→交感神経亢進~以下(1)と同じ
(3)「手でさすると痛みがおさまる」=ゲートコントロール説
 痛み=細い神経線維が興奮→T細胞の活性化→脳への痛みの伝達
 手でさする=太い神経線維が興奮→T細胞の活性化抑制→脳への痛み伝達抑制
【参考】「よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ」(伊藤和憲著、秀和システム38頁~)
痛みは最終的に脳で識別されるため、脳に伝達物質が来なければ痛みは感じない。
痛み伝達物質を抑えれば痛みは減少するが伝達物質が増えると痛みは増加する。

5 自分の痛みの考察
自分が断続的に又は継続的に感じている痛みは腰痛と足先痛。
(1)「腰痛」
 過去の職業柄、座り続けによる軽度の腰痛持ち(但し生活上支障なし)。
 普段は痛みを感じないが腰を捻る時などに時々違和感があった。
 2年前に徒歩旅行を始めた時から時々腰に重い負担を感じることがあった。
 更に2年連続で冬期間に結構辛い腰痛の症状を発症した。
 元々ある軽度腰痛に外的負担増加や糖質摂取の血中養分変化で痛み増加を推測。
 外的負担を減らしたり糖質摂取を控えると腰痛も収まっている。
(2)「足先痛」
 登山の下山で長時間足先の靴接触で痛みができ長期旅行の継続で慢性化した。
 更に糖尿病予備軍により末梢血管が弱まり回復力の衰えが慢性化の一因と推測。
 一方で足爪の半分が一時黒変色していたのがほぼ回復したのは明るい材料。
 今年7月NHKガッテンで水虫が取り上げられ日本人の4~5人に1人が水虫。
 水虫は白癬菌の感染症。テレビを見て今は自分も水虫ではと疑っている。
 水虫は痒くない場合もあり足裏の皮が剥がれたり踵がカサカサも水虫の一症状。
 ネット検索すると爪水虫というのもあるらしい。
 自分の足爪は黒変色が治った後も変形したままでネットの爪水虫と類似。
 今はもしかして足先痛の慢性化の一因に水虫もあるかもと市販薬治療を試行。
(3)「膝痛」
 4年前の自転車旅行の中頃に転倒して膝を打ち一時痛みが辛い時期があった。
 痛み止め薬を抱え自転車旅行を再開して2~3日で膝痛は和らいでいった。
 自転車旅行の後半にはほぼ膝痛は解消したが、その後時々疼く時がある。
 天気や食事(糖分)や極端な負荷等の様々な要因が考えられる。
 なお登山の下山時の大きい負荷がかかる道歩きで膝痛の重症化は未だない。 
「痛い腰・ヒザ・肩は動いて治せ」(島田永和著、H20年朝日新書刊)は自分には有効。
 昔は「痛い時は安静」が、最近は「軽い運動の奨励」が増えてきたようだ。
(4)「突き指痛」
 3年前の登山旅行で転倒して「突き指」したことがあった。
 数日間突き指した部分が腫れて割と痛かった。
 特別の治療はせずに徐々に腫れや痛みは鎮まり違和感が少し残ったがほぼ回復。
 しかしその後寒冷期やストレスが生じた時などに指が硬直化することがある。
 完全に治っている訳ではなかった。一度硬直化すると回復まで10分ほどかかる。
 先日献血に行った時に「ハンドトリートメント」のサービスを受けた。
 サービスの前と後で手の指の血行が明らかに改善したことを実感した。
 その後突き指後遺症改善のため自分でハンドトリートメントするようになった。
 それ以来、多少は突き指の後遺症が改善しているような気がする。
(5)「その他」
 足裏痛は今も少し残っている気がするが回復傾向にあると思う。
 その他の痛みで今現在も後遺症がある痛みは特にない。

6 私見
 「痛み」特に「慢性痛」の改善は多くの人の願いだと思う。
 一方で沢山の慢性痛の人が長く病院通いを続けても改善しない場合も多い。
 「痛み」が「慢性化」する場合は意外な所に隠れた要因がある可能性がある。
 隠れた要因の一つが前回ブログで紹介した「モヤモヤ血管」かもしれない。
 別の要因の一つが「糖質摂取の過多」かもしれない。
 更に最近は「脳が痛みを記憶」していることを治療することもあるらしい。
 その他にも隠れた要因がまだまだ沢山あるかもしれない。
 人それぞれに最適な治療方法が何十・何百種類もあるかもしれない。
 今は「人工知能」と「ビッグデータ」が急速に進化している。
 多くの人の病歴や治療例がデータベース化され人工知能でデータ解析が進めば
 将来個人個人に最適な治療例が提示される時代が来るのではないか。

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