登山中に悩んだ水に関する3つの問題(その2)登山中に必要な水分

登山中にどれだけ水分をとる必要があるかについて、登山旅行記録のブログでも何度か書いたが、私の場合は水を取り過ぎてバテる状況が多かった。

登山の休憩中に水分補給して歩き出すと、水を飲む前よりも汗の量が相当増える気がする。つまり飲んだ水が直ぐ発汗して体内の水分補給にあまり役立っていないように感じる。更には水を飲めば飲むほど喉の渇きが増すようにさえ感じる。

水分補給について考え出したのは、2年前の自転車日本一周旅行の時だった。
自転車旅行では登山と異なり水分の調達が容易にできるため、当初は水分補給は身体に良いという意識で、大量に水分補給し大量に汗をかくことを繰り返していた。
自転車旅行も相当後半に入ってから、水分補給量と発汗量と疲労度が全て比例するように感じてきて、初めて水分補給のことを真剣に考え出した。
自転車旅行の時は坂道の登りがキツいため、徐々に坂道を登り切るまではなるべく水分補給せず登りのピークで水分補給すると、飲んだ水が直ぐ汗になることなく身体に染み入るような感じがした。自転車旅行の終盤には、自転車走行中は水分補給をなるべく控えて昼食時や目的地到着時にゆっくり水分補給するようになった。

しかし昨年から登山旅行を始めた当初は、道迷いせず安全登山することに意識が集中していたため、水分補給は過去の登山時同様約1時間の休憩毎に水分補給していた。登山旅行にもある程度慣れ始め徐々に夏場の暑さも増してきた頃に、水分補給と発汗と疲労の関係を考え始めた。
自分は人並み以上に汗かき体質。そのため水分補給も今まではどちらかと言えば多め。しかし数泊の縦走計画時に荷物量は必要最小限にしたいという意識は強い。だから水の所持量は重要なポイント。数百グラム単位で荷物量を調整する一方で、水については1リットルにするか3リットルにするかで生じる2kgの差は大き過ぎる。

ということで登山時にいかに省力化して歩き水分も必要最小限にするかを考え実践してたどり着いた結論は、ゆっくりペースで歩き続けてなるべく休憩を取らなければ必然的に水分補給も必要最小限になるという歩き方だった。
この歩き方でも大丈夫という自信を持てたのは北海道登山の時だった。
北海道で最初に登った後方羊蹄山では登り道4時間弱の間ほとんど水分をとらず登れて自信がつき、その後大雪山や十勝岳でも往復6~7時間登山で水は1L持参して消費は半分程で足りた。登山時間も早めになり更に疲労感も少なかった。なお登山終了後は、身体が水分を求めているのが良く分かり、ゆっくりそしてタップリ水分補給に努めた。
水は少量、登山時間は短縮,更に疲労度は軽減となれば良いことずくめ。ただし登山時間短縮と疲労度軽減は水の影響だけでなく身体が順応してきたことも大きいと思う。

残る唯一の心配は、果たしてこんな歩き方で身体に悪影響はないかという点。
自分自身では身体は快調だと思うので悪影響も無いと思っているが、登山の本やネットを読むと、全てが「熱中症を防ぐためこまめに水分を取れ!発汗分は直ぐ飲水で補え!」と大合唱。まあ、他人は他人、自分は自分。
それでも、人間と水の関係が気になるため、テレビ、本、ネット等で調べる。

NHKのためしてガッテン(H27年7月15日放送)で、身体と水分の関係が紹介されて筋肉が多い人ほど熱中症になりにくいと話していた。(以下はガッテンのネット記事から抜粋)
人間の体の中で最も大量の水分を持っているのは「筋肉」。
筋肉は水分を貯めるタンクの役割を果たし、筋肉の80%は水分、脂肪の場合は20%。
体重60kgの成人男性では約15kg~20kgもの水分が筋肉に蓄えられている。
【推測1:筋肉が多ければ相当汗をかいて水分が失われても大丈夫と思われる】

「心と体をキレイにする水の新常識」(松下和弘・朝倉一善共著、2005年実業之日本社刊)によると、「飲んだ水は1分以内に脳組織と生殖器、10分後に皮膚組織、10~20分後に心臓や肝臓等の臓器に達する。飲んだ水が最終的に完全に体外に排出されるには1か月かかる」と書かれている。
【推測2:飲んだ水は意外に早く発汗に使われつつ、体内を長期間巡るため相応のエネルギー消費=疲労にも繋がると思われる】

「水とはなにか」(上平恒著、2009年講談社刊)によると、「人は体内で一日にどれくらいの水を使用するのだろうか。腎臓は体の中にたまった老廃物を処理し、きれいな水をつくる工場のようなものである。大人ではここで1日に180Lの水が再生されている。一日に飲み物や食物で外から取り入れる水はせいぜい2.5L。尿や汗の形で体外に排出する水も2.5L。結局180Lの水を供給するために、たえず体内でめぐっている水を腎臓で1日に6回ほど繰り返し再生して使っている」と書かれている。
自分自身で最も気になっている水分補給と腎臓の関係について、水を取り過ぎたり水を節約したりした時に腎臓にどう影響するかはっきりしたことは分からない。ただ、去年と今年の登山終了後の健康診断で腎臓の検診値(クレアチニン値、eGFR値)がほんの僅かながら改善しており少しホッとした。
本題からは少し離れるが、人間がどれだけ水がなくても耐えられるかについては、つい先日も千日回峰行の最難関「四無行の堂入り」を達成した釜堀師のニュースがあり、8年前に満行成就した塩沼亮潤行者の「人生生涯小僧のこころ」でも9日間の断食、断水!、不眠、不臥の厳しさが語られている。
また「食べない人たち」(未読)の本では、「6年間水を飲まない弁護士」が紹介されており、人間と水の関わりには謎が多い。これらは超人的な話かもしれないが、一般の人でも地震で倒壊した建物の中から3日以上たって救出されたニュースに接したりすると、人間の可能性には未知の部分も多いと感じられ、固定観念にとらわれないことも大切だと思う。

※追記前回ブログ「防水について」の中で、耐水圧について15000~40000と記したのはレインウェアの場合でした。このため手袋や登山靴の耐水圧を少しググってみましたが、グローブで30000の製品を見つけた以外には見当たりませんでした。手袋や登山靴に関して耐水圧や透湿性はあまり参考にならないのかもしれません。

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