天気 晴れ
今日は予定の5時出発より20分早い出発。
天気は快晴。眺望良好だろうが気温上昇が心配。
今日のルートは水場が少なく水袋容器2L満水にする。
大朝日岳までに3組と出会った。
最初は2人組で昨夜同宿した人達。
2人組は以東岳~大朝日岳~古寺鉱泉。飯豊の経験や私の山旅の事などを話す。
二人目は昨日同時出発した単独の長野若者。
お互い今日は長距離コースなので頑張ろうと激励し合う。
三人目は地元の年配登山者で周辺山域をよく知る人。
昨夜の大朝日小屋は50人の宿泊者で超満員だったことや祝瓶山の話を聞く。
出発を早めた貯金は途中のお喋りと雪渓ルートでの時間超過に消えた。
大朝日岳の山頂到着は予定の20分遅れ。
大朝日岳山頂からはこれから進む祝瓶山ルートが良く見える。
この先はペースを維持し体力消耗を抑えてコツコツ進むしかない。
大朝日岳から祝瓶山までは標準タイム6時間で中間点の大玉山まで3時間。
私はこの区間で30分短縮を予定していたが大玉山までで逆に30分超過。
暑さが体力の消耗を早めているのが分かる。一体気温は何℃なのかしら?
大玉山までで水袋の2Lのうち4割ほどを消費した。
大朝日岳から大玉山までの区間に水場が1か所あるがコースから少し離れる。
大丈夫と判断して給水をしなかった。
この後は祝瓶山までに水場が1か所ある予定。
大玉山から進むと登山道の刈払い作業中の人と出会う。
ここは結構急斜面の山腹に細い登山道が付けられた歩行に注意の要する区間。
刈払いのため機械を振り回して作業する男性を見て大変さに頭が下がる。
すれ違う時に挨拶をしたら、蛇の死骸?を見せ「要らないか?」との言葉。
「見るだけで結構」と返事し、刈払い作業の慰労と感謝を伝え先に進む。
後に再度この男性と出会うことになり、更に感謝することになる。
大玉山と祝瓶山はほぼ同じ1400m台の標高だが途中で一旦1000m台まで下る。
その鞍部の近くに水場がある予定だったが標識が見当たらなかった。
結局水場を見つけられず水の補給なしでそのまま進むことになる。
祝瓶山間の鞍部で祝瓶山から下山中の単独登山者と出会う。
大朝日以後の唯一の登山者との出会い(刈払い作業男性以外)。
鞍部を過ぎていよいよ祝瓶山への急登が始まる。
最初は疲れは感じていたが、何とか大丈夫だろうと思っていた。
しかし今までの暑さによる体力消耗は相当身体にこたえていた。
登り始めて間もなく身体が動かなくなり完全にペースダウンの状況になる。
最も苦しい時は10分登っては10分休むような極度の疲労感に襲われる。
汗拭きタオルを紛失し、カメラを置き忘れて取りに戻り、意識も少し衰弱。
休んでいるときには眠気に襲われ、数秒間眠りに落ちた。
眠気は昨夜山小屋で良く眠れなかったことが原因と思った。
疲労は暑さとアップダウンでの体力消耗と少量食によるエネルギー不足と思った。
発汗も多量で水不足も感じていたが、過去の経験や口の乾き具合からまだ大丈夫と思った。
この時点では水袋の水は当初の2Lの内4割ほどを残していた。
休憩時間は増大したが何とか気力を振り絞り登るきる。
祝瓶山山頂へは予定を2時間超過して15時に到着。
この時点で徒歩での民宿到達は大幅遅刻が明確なためタクシー利用を決断。
祝瓶山頂でスマホ携帯電話の通信可能を確認できた。
登山口への到着予定時刻を見定めてからアトで電話しようと判断。
しかしこの判断は間違いだった。
その後下山道を1時間ほど歩き電話するが通信不可。
電話するため一旦腰を下ろして休むと再度腰を上げるのに数分かかる。
これを2~3度繰り返し、結局下山中の山中では通信出来ないと知る。
最終的に下山道終点近くの「鈴出ノ水」水場到着が17時35分。
下山でも標準タイムより更に30分以上の遅れ。
水場で水をむさぼる様に飲む。飲んでも飲んでも未だ飲み足りない。
1L以上飲んで漸く落ち着き水場から立ち上がると生き返った気分。
疲労、空腹感、眠気の全てから解放されたと感じる。
今までの疲労や眠気などは全て水不足が原因だったと身体が伝えている。
体力は回復したが既に民宿の予約時間を過ぎて更に2時間以上徒歩はできない。
更に体力回復と共に今まで感じなかった足裏の痛みをまた感じる様になった。
早く電話の通じる所まで行き民宿にタクシーの手配を依頼しなければと焦る。
その時後ろから人が来た。
大玉山の登山道で刈払いをしていた男性だった。
男性「今頃何故ここを歩いているの?」
私「祝瓶山の途中で完全にバテて大幅に遅れてやっとここまで歩いた。」
男性「私もバテた。多分30℃は超えた。これ程暑くて風も吹かない日の作業経験は無い。」
男性「あの時見せた蛇を受け取っていればバテに効き目があっただろうに。」
男性「どこまで歩くの?」
私「民宿まで歩く予定だったが、遅れてしまったので車を呼びたい。」
男性「私の軽トラに乗れば良い。」
ということで正に「救いの神様」登場。民宿まで軽トラに同乗させてもらう。
男性は「民宿さいとう」と親しいらしく、刈払い作業の手土産にキノコをおすそ分け。
(キノコは翌朝の朝食みそ汁で提供。)
男性に心から感謝を伝え、民宿に遅刻を詫び、民宿の玄関前でまた水をガブ飲み。
その後民宿に入り、夕食を風呂の後にお願いする。
風呂に入るため靴下を脱いだら、痛かった左足裏の皮が剥がれていた。
登山の終了直前まで余り感じなかった足裏痛が水をガブ飲みした後に再発。
痛みは脳が感知することを改めて身体で感じた。
(このことについては、後日に改めて書いてみたい。)
「民宿さいとう」はとても良い宿だ。
割と新しい建物で各部屋は綺麗に掃除されている。
料理も地場野菜料理中心の品数の多い家庭料理で美味い。
若女将や一家全員が気さくな人柄で良い。
洗濯機も無料利用できた。
大危機の可能性もあった一日は助けももらい無事終了。
幸せを噛み締めて就寝。
04:40 竜門小屋・発
07:50 大朝日岳山頂 (5分休憩)
11:20 大玉山 (10分休憩)
15:00 祝瓶山 (10分休憩)
17:35 鈴出ノ水 (水場で10分飲水)
18:00 大石橋の手前 (車に同乗)
18:30 民宿さいとう・着
歩行時間 12時間30分
歩行距離 20km
乗車時間 30分
乗車距離 10km