東北南部の山徒歩旅[2日目]

8月17日(土)
天気 晴、 最高気温 31℃

1 旅概要
朝3時に起床し準備運動と朝食摂取に1時間。
後片付けと寝床整理と各種収納後にテント解体。
朝5時前に散歩に訪れた男性と軽く挨拶。
トイレ脇の水飲み場で水調達後5時10分に出発。
早朝は未だ暑くないが徐々に暑さが増す予感。
国道345を進みその後右手の林道へ入る。
1時間林道を歩き続けると終点に関川中継局。

ここの関川登山口から摩耶山登山道が始まる。
登山口に忘れ物と思われるストック2本が有った。
ヤブ気味の登山口を少し進むと踏み跡明瞭道。
途中の小ピークには三等三角点がある。
登山口から約1時間で水場「うがい清水」に着く。
冷えていてとても美味しい水を堪能する。
更にその先には小さい山小屋が建っている。
山頂近くの六体地蔵や奥の宮を通過して山頂着。

8時半に到着した摩耶山頂は日差しが暑い。
山頂周辺の木陰を探したが適当な所が無い。
止む無く直射日光の山頂で約20分軽食休憩。
その後は登りの関川と反対側の倉沢へ下る。
登り易い関川とは正反対で倉沢側は急斜面道。
ロープを頼りに下る道が延々と続く。
標高1000mの摩耶山だが急過ぎて慎重下り必須。
このため下りなのに登りと同じほど時間を要す。
更に今回は約16kgザックが負担を倍加する。
ザック重量が加速要因になり一層慎重下り必須。

約40分ほど下り一服休憩中に後方から男性が下山。
今朝は朝から誰とも会わず突然の出会いに驚く。
男性は倉沢に駐車して登った後の下山中との事。
私は関川から登って来たため初出会いとなった。
男性に道を譲り休憩した後に私も下山を続ける。
その20分ほど後に天気が急変し雨が降り出す。
雨の中下り続けると「中道」の分岐表示が出現。
「中道」ルートを調べようとスマホを手に取る。
だがスマホが雨に濡れタッチ操作が効かない。
矢印が「中道」を示すのだから指示通りに進む。
10分ほど急傾斜を下ると道は谷越え風になる。
この時初めて「中道」が倉沢側の別ルートと気付く。

倉沢側には2ルート有り中道は上級向けルート。
危険箇所が多くあるため一般登山者には不向き。
今回の摩耶山検討時にルートの事は調べていた。
だがルート名称まではよく覚えていなかった。
10分ほど下った急斜面を引き返さなければならない。
疲労の濃い身体には辛い登り道を何とか登る。
往復約20分ロスして元の道に漸く戻り小休憩。
思い返せば先ほど出会った男性は多分往路が中道。
そのため下山時点で初めて会ったという事だろう。

30分ほど降り続いた雨はその後上がって天候回復。
この後も多数のロープ場や梯子場数箇所を通過。
ロープ場の通過時に重量ザックに揺さぶられ転倒。
重いザックが揺れると衝撃で身体が振られる。
一歩間違えると滑落危険もありヒヤリとした。
山頂から倉沢口までの下山は予定の倍の4時間。
道間違い・疲労・雨休憩等で想定以上に時間を要した。
更に手持ちの飲料水も残り少なくなっている。
この先は林道を進み途中で水調達を予定する。

スマホ地図を頼りに林道から県道への道を目指す。
だが登山口から林道を10分ほど進み異変を感じる。
歩いている道とスマホ地図の道が一致していない。
どこかで分岐を見落としたと思い来た道を引き返す。
だが地図にある分岐が実際の道には見当たらない。
一体これはどういう事か? 狐か狸に化かされたか…
どうすれば良いか皆目見当がつかない。
ただ道奥に沢の流れが見えたため先ず水調達を優先。
多少ヤブをかき分けながら沢に入り水を無事調達。
水不足気味の身体にも水分補給を十分に行う。

その後は地図道と現実道の乖離問題に向き合う。
少なくとも途中出会った男性は倉沢に車で来た。
だから車で一般道までつながる道は確実にある。
もう一度登山口に戻り確かめる事にする。
登山口に戻り看板に道案内が無いか確かめる。
残念ながら道案内は無いが、新たな道を発見する。
もしかするとこれが一般道に向かう道かもしれない。
藁に縋る思いで道を進むと地図道と徐々に接近する。
そして最終的に地図の道と無事合流した。
私が見た地図道はスーパー地形の国土地理院地図。
国土地理院地図でも完全信頼は危ないと思い知った。
道探しと水補充作業で更に45分遅れが加わった。

林道を進むと畑が出現し始めて心底安堵する。
地図の信頼性が低下すると疑心暗鬼が消えなくなる。
畑そばの倉庫の日陰で濡れ靴乾かしと軽食休憩する。
今日は山頂までは予定どおりだがその後は予定外連続。
急下り時間超過、雨と道間違い、地図道誤記など。
合計で2時間半ほど予定時間をオーバーしている。
更に休憩20分ほど加わり3時間予定超過で再出発。

そしてタキタロウ公園・朝日屋を目指す。
朝日屋が近づくにつれ徐々に日差しが和らぐ。
それでも火照った身体からは滝並の汗が止まらない。
昨日と同様に下半身のズボンは失禁並のビショ濡れ。
当然上半身も発汗はあるが速乾シャツで濡れ感は少。
そして夕暮れ頃から遂にアブ襲撃が徐々に増え出す。
最初は多少気になる程度だったが徐々に拡大する。
そしてアブ襲撃は強弱しながら繰り返す。
20分ほど襲撃が続いたと思うと突然襲撃が止む。
そのメカニズムは全く謎だった。

朝日屋の通過は予定より2時間40分遅れていた。
7年前朝日屋で水調達と記憶していたのは記憶違い。
7年前も水不足に絶えながら最終地の泡滝で水調達。
今回は最終地まで水調達できないと身体にキツい。
何とか途中で水の確保を実現したいと切に思う。
右手に東大鳥川が見えるが護岸高低差が侵入阻止。
すると東大鳥ダムの先で護岸工事現場が表れる。
ここからならば川岸に下りて水を調達できる。

少し前から纏わり付くアブを従え川辺で水調達。
その後護岸に戻り水筒をザック収納中もアブまみれ。
後は過去記事どおりアブへ反撃時にメガネと決別。
アブへのイライラによる不注意で我ながら情けない。
その後も歩き続け19時前に目的地手前で野宿。

歩行中もテント張り中もアブ旋回に絶えず苦しむ。
アブが騒がしくては冷静に何かに専念するのは無理。
テントに潜りテント内のアブを始末して漸く一服。
今後の方針決定が優先で少考後早々に旅中止決断。
その後は通信圏内確認してスマホから宿泊取消。
まだ2日分余残る食料を食べながら一日を反省。
摩耶山登頂後の2度道迷いとアブ格闘とメガネ紛失。
自己責任と不運が混在し気持ちの整理が難しい。
だが明日以降の計画変更の検討も必要になる。
食事を終え横になり考えを巡らしつつ寝床に就く。
夜中には雨が降ってきた事も運命のイタズラ?
(撤退決断の援護射撃か?)

2 旅の経過
05:10 関川しな織センター前P・発
06:25 関川登山口 (10分休)
07:40 水場「うがい清水」 (5分休)
08:25 摩耶山 (20分休)
11:15 「中道」分岐で道間違い(20分ロス)
12:45 倉沢登山口
   進路探し&水補給 (45分ロス)
14:10 倉庫脇日陰で休憩 (20分休)
16:40 朝日屋前通過
17:25 ダム上流川岸で水調達
   メガネ紛失・探索 (計25分)
18:45 泡滝登山口4km手前道端(野宿)

徒歩時間 11:00 (休憩150分除く)
徒歩距離 38km

3 旅の写真
野宿地付近は戊辰戦争跡地

関川集落を振り返りながら登り進む

国道345から右折し摩耶山関川登山口へ

関川中継局のある登山口

朝日が差し込み登山道

水場「うがい清水」

避難小屋

六体地蔵

奥の宮

摩耶山頂から南東を眺望

摩耶山頂から倉沢へ急降下

沢筋道から右横道に踏み換える

両側が切れ落ちた尾根道を進む

鉄梯子の急下り道

倉沢登山口に到着

スマホ地図どおり進み彷徨うが道無し!

迷った末に原点回帰して道を発見!

予定より3時間弱遅れて県道に到達

予定より2時間40分遅れて朝日屋前を通過

東大鳥ダム通過後の川辺で飲み水を調達

東大鳥川沿いの道端でテント野宿

4 旅ルート
(後日掲載予定)

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コメント

  1. appleberry より:

    緊迫した状況に陥っていく様子がとても伝わってきました。
    ほんのちょっとしたミスや出来事で、ルートを見失い、遭難という事態になってしまうのでしょうね。
    今回は、すぐに「おかしい」と気づけたことで、大事に至らずにすみ、本当によかったです。

    アプリ「スーパー地形」を使っておられるのですね。私も、よく利用させていただいています。オフラインでも使用できるので、バッテリーの節約になり、助かっています。
    さらに、国土地理院の地形図との連携なので、とても重宝しています。
    ただし、地形図上には、昔の道も記載されたままなので、もうすでにないような道が書いてあり、「道があるはずなのに」と迷子になりそうになったことがあります。
    その瞬間、心拍数が一気にはね上がり、冷静になろうとしたことを思い出しました。
    今回のように、GPSとずれていると、どうしたらいいのか焦りますよね。

    なにはともあれ、無事でなによりでした。

  2. takenamik1 より:

    appleberryさん、コメントありがとうございます。
    今回はスマホ地図の誤表記で遭難と紙一重状況まで追い込まれて焦りました。
    そんな苦い経験を経てもスマホ地図は無くてはならない大切な相棒です。
    私はどちらかというと方向音痴気味でスマホ地図を見ていてさえ左右や東西南北の進行方向を勘違いする事がママあります。
    そんな私が曲がりなりにも徒歩旅などを続けられるのはスマホ地図アプリのお陰です。
    今後もスマホ地図でトラブルに遭遇する事があったとしても頼り続けると思います。
    ただアプリとは別問題として国土地理院地図の情報には正確さを切に希望します。