前回のブログで紹介した登山記録GPSデータ分析方法を解説します。
エクセルの操作を伴う話になりますので、興味があればお読みください。
【エクセルを使ったGPSデータ加工・分析の大まかな手順】
最初に
分析したいGPXファイルを「Sheet1」にコピーする。
仮に平均10秒間隔で6時間記録されたファイルならば2160行分のデータになる。
GPXファイルの各1行には日付時間緯度経度等の情報が連なって書かれている。
Sheet1
iPhoneのフィールドアクセスのデータをそのまま転写している
次に
1件毎のデータを時刻や緯度・経度・高度に区分けし「Sheet2」に書き出す。
合せて緯度・経度から距離を積算し5分毎の時速を求め「Sheet2」に書き出す。
5分単位の時速を基に休憩や登山速度の変化を判断して区切りを決める。
(休憩の場合は5分以上、それ以外は1時間以上を目安に区切る)
Sheet2
Sheet1のデータをセル単位に分解して時速計算している
最後に
概ね1時間単位の速度変化結果のデータを「Sheet3」に書き出す。
Sheet3
Sheet2のデータを分析集計し登山速度の傾向を表示している
【マクロ作成上の留意点】
時速の考え方
私の場合時速0.6km以下は休憩、時速1.6~2.6kmは標準時速とした。
標準時速以下は低速、それ以上は高速と分けて区切る際の目安にした。
休憩時速について、例えば休憩地到着後に休憩場所探しでウロついたとする。
ウロツキも時速計算されるため時速0.6km以下は休憩と判断することにした。
距離積算の考え方
距離は緯度、経度、高度で求めるが、今回は緯度と経度のみで距離積算した。
高度データは距離積算の対象から除いた。
例えば槍山頂へのアタック時は緯度経度の変化は少ないが高度は相当変化する。
しかし高度を距離に換算する方法が分からないためマクロでは高度を無視した。
緯度経度からの距離の積算方法は簡便法を使っていて、ある程度誤差がある。
丸い地球上の緯度・経度と距離の関係は赤道と北極では大きく異なる。
ただ日本という限られた範囲ならば赤道と北極に比べ変化は小さい。
地球の球体を考慮した厳密な距離計算式をマクロ化するのが面倒だった。
このためマクロでは緯度・経度からの距離積算を長野を基準に固定した。
距離積算上の誤差
今回の分析でGPSの緯度経度データ自体に結構誤差があることが分かった。
例えば槍ヶ岳山頂の休憩中は25分で166m動いていることになっている。
しかし実際は合計でも10mほど動いたぐらいで、GPS誤差が影響したと思われる。
GPS利用の際はモバイルネットワーク回線も併用すれば精度が高まる。
しかし山中でモバイルネットワーク回線が接続できる可能性は低い。
これまでブログに歩行データを掲載しながらガイド本の距離より長いことが多いと感じていた。
今回の分析でGPSの精度には微妙な狂いもあるのだと納得した。
更にGPSデータには異常値(本来と大きく隔たった値)が稀に出現している。
特に出発時や休憩後再出発時などのアプリ開始時に異常値が出やすい。
1秒で10m以上移動(緯度経度が変化)する場合は異常値と判断し除外した。
【アプリ「フィールドアクセス」(以下、FAと記す)の特徴】
FAの記録方法は時間・距離併用型と思われる。
時間型記録とは、一定時間(例えば30秒)経過したら記録すること。
距離型記録とは、一定距離(例えば10m)移動したら記録すること。
時間距離併用型は、一定時間か一定距離の何れか条件を満たしたら記録すること。
(これは私の推測なので違っていたらゴメンナサイ)
今まで休憩中はFAを一時停止してバッテリー消費節約に努めていた。
しかし一時停止からの再開時に稀にGPS捕捉トラブルに見舞われた。
今回改めて記録データを眺めると休憩中は記録頻度も少ないことが分かった。
バッテリー消費節約を目的にFAを一時停止しても効果は低いかもしれない。
長時間休憩時は別として、短時間休憩時はトラブル回避もあり一時停止不要かも。
次回ブログにエクセルで作成したマクロを掲載予定です。
興味ある方はどうぞ。