8月31日(木)
天気 雨のち曇
未明から小雨が降り始める。
テントの中で軽い朝食後、テント内の荷物をまとめ「かまど場」に移動する。
かまど場の屋根の下でテントの収納作業をして、出発支度完了が5時30分。
雨は一時止みかけて雨合羽着用を迷ったが出発時に降り始めて結局雨合羽着用。
今日のコースの早月尾根は北アルプス三大急登の一つ。
昨年登った裏表銀座縦走初日のブナ立尾根経由~烏帽子岳の方が日本三大急登。
どちらも登山道はつづら折り道で、道の斜度自体は特別急傾斜と感じない。
そこそこ急な登り道がひたすら長く続く道のため、急登の称号が付いたらしい。
早月尾根登坂途中で雨が止み雨合羽を仕舞う。
登り道ではザックの重さが相当身体に堪える。体温調節し体調管理に配慮。
小股歩行でペース維持に気をつけ5時間で早月小屋着。
そこから更に4時間かけて14時30分に剱岳山頂に到着。
ブナ立尾根を登った時はコースタイムを相当短縮できた。
そこで今回の早月尾根でもコースタイム短縮ができると目論んでいた。
現実は、早月小屋から剱岳まではコースタイム以上に時間を要した。
最大の理由は、自分で思っているほど十分な体力が備わっていないのだと思う。
スタートした最初は順調でも時間の経過と共に疲労でペースダウンしている。
それに加えて食料や水分補給が十分満足に摂れないことの影響もある。
持参する食料は多くなるほど重荷になるため、必要栄養確保と荷物軽減の板挟み。
予備・非常食(ソイジョイ)は多めだが、朝・夕食は必要最低限度の量とした。
このため縦走旅行初日は元気でも、2日目以降は時間経過と体力低下が連動する。
過去の縦走登山や東北山歩旅行でも食事の量と体力増減が連動する感じが強い。
また水分補給についても5時間程度の登山なら水分補給は下山後でも間に合った。
しかし10時間前後の縦走登山では適切な水分補給が重要と東北縦走で身に沁みた。
特に水場の少ない場所の縦走登山では最適な水分補給をどうするかは試行錯誤状態。
それでも馬場島から剱岳山頂まで重装備・休憩込でコースタイム通りなら不満なし。
途中に水場が無いため登山中は水分補給を抑制し、山頂で300ccほど水分補給。
2度目の剱岳山頂も前回同様ガスで眺望不良。誰もいない山頂で10分休憩。
もう登ってくる人もいないだろうと山頂を出発。
下山路を5分ほど進むと30歳前後の少し小太りの若者が登ってきた。
若者から「少し水を分けてもらえないか?」とお願いされる。
若者は「油断をして水を飲み過ぎて水筒を空にした。無理なら良い。」と言う。
若者の今日の予定を尋ねると、山頂到着後は剱山荘に下山予定と言う。
この時に私の残っている水は500cc程度。このうち350ccほどを若者に分けた。
若者はお礼に塩飴を差し出したが、自分は糖尿病予備軍だからと飴を辞退。
別れ際に「水は大切に注意して飲まないと」と自分自身に言い聞かせるように伝えた。
下山路の最大難所「カニのヨコバイ」に差し掛かる。
昨年の登山時はとても緊張したが、今回は割とスムーズに通過した。
驚いたのは昨年通過した位置が本来の位置と微妙にズレていて危険大だったこと。
今年は矢印表示どおりに進んだため昨年ほどの危険を感じずに通過できた。
登山では多くの場所に矢印や方角マークがある。それが如何に重要か改めて認識。
登り道では結構疲労したが、下り道は昨年の経験もありガス気味でも順調。
予定どおり約3時間で下山。17時50分に剣沢キャンプ場に到着。
管理所の受付の若い女性職員からキャンプ場の利用注意を受ける。
管理所前にある水場は塩素消毒済の山水、2分ほど離れた水場は消毒無しの山水。
いずれの水も飲用は煮沸してから利用してください、とのこと。
昨年来た時の受付は男性職員だったが、そんな説明を受けた記憶はない。
昨年は管理所前の水だけ煮沸せず利用したが、問題はなかった。
昨年は7月28日木曜に訪れ、40~50張ほどのテント数。
今年は8月末の同じ木曜に訪れ、20~30張ほどで、昨年の約半分。
今は時期的に夏と秋の間の多少閑散期にあたるらしい。
昨年と似た様な場所にゆったりテントを張り、夕食後20時前には就寝。
近くのテントからは韓国語らしい男女の声が1時間ほど聞こえていた。
05:35 馬場島・発
10:35 早月小屋
14:35 剱岳山頂(10分休憩)
17:20 剣山荘
17:50 剣沢キャンプ場・着
歩行時間 11時間40分
歩行距離 13km