裏岩手から岩手山縦走(2日目)

浅い睡眠のまま朝3時頃に目が覚める。
寒さで身体が未だ毛布から出たくないと訴えている。
でもオシッコにも行きたい。
止むなく毛布から抜け出して1階のトイレに下りる。
氷点下0度くらいかと思ったがそこまで寒くはなさそう(温度計無く不明)。
結構アルミ製防寒服の断熱効果が大きくそのまま朝食準備に取り掛かる。
朝食の主食はドライ米に沸かした湯を入れ味付魚パックを加えた猫飯。
副食にポテトサラダのレトルトパック。

朝食終了後に荷物の整理収納と昨日の濡れた服に着替えし4時半頃に出発。
今日は三ツ石山荘を目指す。途中の水場は山荘1時間前と山荘そばの2か所。
昨日到着時に水袋に入れた水がまだ相当残っているため水は追加せず出発。
10月の5時前の山中は未だ真っ暗。ヘッドライトだけが頼り。
しかし山小屋から続く登山道はいきなりヤブ道になる。
道が分からずヤブの中の道の様な方向へ進むこと2回挑戦して諦める。
スマホで前回進んだ方向を確認すると洗堀道の左脇に小道がある。
3か月前に来た時にも同じように少し迷った記憶が蘇る。

樹林帯を40分ほど進むと大白森の湿地帯が現れ空が少し明るくなる。
大白森の湿原の中央を突き抜ける木道の上に薄っすらと雪の粒が見える。
木道に登山靴を乗せた瞬間、僅かな傾斜でも靴の滑走が止まらない。
それどころかほとんど平な所でも足を動かす動作だけで滑り出す。
昨日大白森山荘前の木道が異常に滑ったのはもしかして雪の影響かも…
木道を歩き続ける勇気が持てず木道脇の湿原内に足を踏み入れる。
ところが湿原内も所々水溜まりがあって大変。
木道と湿原内を交互に行き来しながら慎重に歩みを進める。

大白森の湿原で御来光を眺め、行く手には秋田駒の山塊も見える。
今日は徐々に天気が回復することを期待し滑らないよう全神経を集中。
無事大白森の湿原木道を抜けると転倒の心配は薄れた。
それでも小白森の木道でも少し白い雪の粒に出会い、慎重歩行。

鶴の湯分岐まで下ったあとは田代平まで樹林帯のアップダウン道が続く。
樹林帯の道は泥濘が多く昨日から湿ったままの靴の中は相当水分を含む。
田代平まで来るとようやく樹林帯を抜け登山道は乾いた道に変わる。
そして今まで誰にも出会わない山旅が終わり高齢登山者と出会う。
乳頭山(烏帽子岳)山頂到着までに3グループと出会う。
山頂で軽食とカメラの記録メディア交換作業を15分ほどして山頂を出発。
出発時には多かった雲も乳頭山頂を過ぎてから青空が徐々に増える。

乳頭山頂からは一旦滝ノ上温泉登山口まで下山する。
このコースは非常になだらかな区間の後に急斜面の区間が現れる。
途中で10人程の高齢団体や重装備テント泊?の若い女性2人組とすれ違う。
途中で紅葉を愛でながら2時間余で滝ノ上温泉登山口休憩所に到着。
もしかして水の補給ができるかと思っていたがトイレの水は飲用不適。
天気が晴れたので靴・靴下を脱ぎ、雨合羽を脱ぎ多少でも乾燥させる。
再度軽食を摂り30分ほど休んだ後、三ツ石山から山荘を目指す。

いきなり急登で始まった直後、斜面崩落個所に出会う。
登山道が付け替えられていて少し迷った後、崩落個所を横切って進む。
結構急な登りが続くが休憩をとったこともあり快調なペースで登る。
この区間でも途中4グループ合計15人ほどとすれ違う。
登り道の途中で最初の水場を見落とす。そして山荘手前の水場は水涸れ。
標準タイム2時間50分の区間を約2時間で登り三ツ石山荘に到着。

山荘に入ると約60L程の大型ザックが1個あるが人はいない。
私もザックを山荘に置き、三ツ石山を往復する。
登り30分弱で山頂に到着。しばし山頂の眺望を楽しんだ後下山。
下り約30分で山荘に到着するが、大型ザックの持ち主は未だいない。

夕食の準備をしながら今後の水の配分計画に頭を巡らす。
今朝の出発時に約2L程度あったと思う水は途中で500ccほど飲水した。
現時点は約1.5L。ここから夕食と飲水で今夜の使用が約500cc。
明朝の朝食等に500ccほど使用すると明朝出発時には500ccほどになる。
この他に野菜ジュース200ccが残っている。
明日は出発して2時間ほどの所に水場がある予定。
そこまでは大丈夫そう。ただし万が一その水場も涸れていたら?
その時は岩手山を諦め松川温泉に下山するか?岩手山8合目水場に向かうか?

水計画を考えながら夕食準備をしていた時に大型ザックの持ち主が現れた。
何と! 一人旅の30歳ぐらい?の男性外国人。
お互い「ハロー」程度の挨拶の後、外国人がボトルを手に「No Water」。
多分外国人は山荘前の水場が涸れていたため水を探していたのだろう。
私は何と言えばいいか分からず、ボトルに少し水があると思ったので、
「Little bit Water」と言ったのだが、彼には伝わらない。
彼が聞き返したが、話すことを諦め「I cannot speak English」。
彼は頷き、相手も英語以外の言語を話した。
欧州圏のオランダ語か北欧語の様に感じたが、これも不明。
その後2人は無言。意思疎通の大切さと難しさを噛みしめる。

彼は水筒の水(水溜まりの水?)を煮沸していた。
私は夕食後、明日の計画を悩みながら早めに就寝した。

雪の粒が付着した大白森の木道
雪の粒が付着した大白森の木道

大白森の彼方から登る朝日
大白森の彼方から登る朝日

大白森の草紅葉と秋田駒
大白森の草紅葉と秋田駒

田代平から眺める紅葉と乳頭山
田代平から眺める紅葉と乳頭山

乳頭山頂手前で田代平山荘と紅葉を眺望
乳頭山頂手前で田代平山荘と紅葉を眺望

乳頭山頂から岩手山方面を眺望
乳頭山頂から岩手山方面を眺望

乳頭山の下山路から紅葉と乳頭山を眺望
乳頭山の下山路から紅葉と乳頭山を眺望

白沼と紅葉
白沼と紅葉

滝ノ上温泉休憩所
滝ノ上温泉休憩所

三ツ石山荘手前の水場は水涸れ
三ツ石山荘手前の水場は水涸れ

三ツ石山荘前には水溜まりの湿原
三ツ石山荘前には水溜まり湿原

三ツ石山の山頂
三ツ石山の山頂

三ツ石山から北東に向かう大深岳への縦走路
三ツ石山から北西に向かう大深岳への縦走路

三ツ石山から左に岩手山と右に山荘を眺望
三ツ石山から左に岩手山、右に山荘を眺望

04:40 大白森山荘・発
05:50 大白森
07:00 田代平・鶴の湯分岐
09:20 田代平山荘
10:00 乳頭山(15分休憩)
12:30 滝ノ上温泉(30分休憩)
15:10 三ツ石山荘
15:40 三ツ石山
16:10 三ツ石山荘・着
【登山時間】 10:30
【登山距離】 23km

登山時間の比較
           標準time 前回time 今回time
大白森荘~鶴の湯分岐  110分  110分   140分
鶴の湯分岐~乳頭山   240分  150分   180分
乳頭山~滝ノ上温泉   130分        135分
滝ノ上温泉~三ツ石荘  170分        130分
(前半は道迷い、木道慎重歩行で時間増大)

登山ルート(ルートラボで表示)

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