令和6年旅報告-ふくしま浜街道トレイル (後)

旅概要
5日目 4月14日(日)
昨夕方には老婦人と孫(?)が花散策で近くに来た。
老婦人が私に「旅の途中なの?」と話しかけてきた。
私が福島浜通りの徒歩旅の途中と話すと驚いていた。
男性だから出来るが女性は無理と婦人は感想を述べた。
風呂は入ってるかと聞かれ入らないが大丈夫と答えた。
発汗具合によるが2~3日は入浴しなくても問題ない。
ただ一昨年6月のみちのく海のアルプス旅は辛かった。
6日連続野宿したが4日目頃から身体が痒くて辛かった。

朝食を済ませ朝5時半には野宿した公園を出発。
朝の6時前に小高神社に立ち寄るが誰も居ない。
ここも桜の名所で桜は散り始めだが未だ美しい。
参拝して引き返す時には訪れた男性とすれ違う。
早朝から参拝に訪れる人は何処にも大抵いる。

小高神社の後は東ヶ丘公園に向かう。
途中で岩の掘削跡の様な場所を通過する。
岩の掘削壁面を更に掘り抜いた穴跡がある。
福島では過去旅でも町中で岩穴を時々見かける。
最初は不思議に思いつつ深くは考えなかった。
だが昨日大悲山大蛇物語公園で石仏を見た。
どちらも岩を切り出して作り上げた一種の造形。
古人は自然を敬いつつ様々な活用をしたのか?

昨日に引き続き快晴の天気で気温も上昇する。
昨日夕方スーパーで調達した水しか保有水は無い。
気温上昇と共に飲水が進み手持ちの水は減少する。
どこかで調達したかったが見つからず公園に到達。
出発から4時間で着いた東ヶ丘公園の水場に直行。
漸く十分な水を補給した後は少休憩後に先へ進む。
雲雀ヶ原祭場地は相馬野馬追の主会場らしい。
隣接の陸上競技場は周囲を満開の桜が囲み圧巻。
高台から広大な景色を楽しんだ後に歩行再開。

林間を通り公園を抜け原ノ町駅の跨線橋を渡る。
町中を歩いていて気付いた事がある。
黒っぽい上下同一服で歩く男性を時々見かける。
最初は微かな疑問が出会い回数が増え疑問拡大。
もしかして野馬追と関連しているのかもと思う。
一見さんの旅では土地の風習等は知る由もない。

国史跡の桜井古墳という大きな丘陵を横断する。
北泉海浜公園に辿り着き東屋に入り休憩する。
日向は暑いのだが日陰に入ると薄ら寒く感じる。
日曜日の昼で親子連れが大勢遊びに来ていた。
20分食事休憩した後は一度海に出た後再度内陸へ。
この日は海手と内陸側を交互に行き来するルート。

川沿いの桜並木を眺め歩きスーパーに立ち寄る。
スーパーシシド鹿島店がこの日最後の食料品店。
食料調達後は又海沿いに向かった後に海岸歩き。
海岸沿い歩きは合計で10km、2時間以上続く。
当初はここを渡りきってから野宿したいと考えた。
だが夕暮れスタートでは距離が長過ぎ不安がある。
このため松川浦南端の磯部漁港を野宿候補にする。
漁港にはトイレが有りそうに思えたが確信はない。
このためスーパーで最低限の水は予め確保しておいた。

磯部漁港に到着しトイレを探すとトイレはあった。
だがトイレには鍵が掛けられいて利用できなかった。
事前に水を確保しておいて正解だった。
漁港で野宿する時は邪魔にならない場所選び。
なるべく隅の目立たない場所を選びテント設営。
何とか無事漁港で野宿の一夜を過ごした。

6日目 4月15日(月)
未明の3時過ぎと思うが車の音が聞こえてきた。
その後間もなくすると漁船のエンジン音がする。
漁港では夜中や早朝から船仕事の始まる事が多い。
私も3時半には起床し朝食や後片付けし出発準備する。
5時10分に漁港を出発する。

5km1時間20分歩くと御製碑のある公園に着く。
前日に続き水不足気味だったためトイレに直行する。
真っ先に飲水して水不足気味の身体を潤す。
その後にゆっくり快便する。
実は旅前の下調べでこの公園を見落としていた。
そのため前日は不安ながら磯部漁港で野宿した。
事前に公園の存在を知っていたらここで野宿したかも?
水トイレが有り野宿に丁度良さそうな公園に感じる。
ただ昨日は結構疲れていて歩きは限界だったかも…

公園で一服休憩後は松川浦環境公園まで歩く。
松川浦公園はみちのく潮風トレイルの南側の起点。
なので「ふくしま浜街道トレイル」旅はここで終えて良い。
しかしトレイルルートはこの先ももう少し続いている。
鹿狼山コースが「みちのく」「ふくしま」で重複ルートになる。
福島としては県の浜全域を設定したのだろう。
私は鹿狼山コースを2度歩いていて今回は省略する事にする。
ただ旅の終点と最終地点の福島宮城県境は目指したい。
そこで沿岸部を継続歩行しゴールの磯山展望地に向かう。
震災後の沿岸部は様々な形で整備が行われている。
多くは防災緑地として道路や公園が整備されている。

松川浦環境公園から2時間余9km歩き磯山展望緑地に着。
ここが福島県と宮城県の県境(付近)になる。
ここで一服休憩後に新地駅まで徒歩で移動する。
新地駅からJR等を乗り継ぎ夕方には青森の実家に着。

今回の旅で気付いた点を備忘録として書き留める。
ふくしま浜街道トレイルについて
・感覚的には舗装道歩きが98%、平坦地歩きが90%
(但し今回歩かなかった鹿狼山前後分は除外)
・舗装道歩きや平坦地歩きは日常と近いので一面で楽
・舗装道は足蒸れ易く平坦地は飽き易く個人感想イマイチ
・サイクリング道を多く含むため自転車旅も可能かも
・ルート中はトイレや水場の少ない箇所が割に多い
(特に海岸沿い歩き時は水場やトイレが少ない印象)
・食料調達、水調達、トイレ情報は事前確認が望ましい
・大悲山大蛇物語公園を個人的興味で歩いたが大満足
・大悲山大蛇物語公園をルート除外した事は私的に疑問

旅行時期について
・観桜主目的の旅だったが最高に良い時期だった印象
・時期的には満開~散り始め時期に行く事ができた
・天候も朝晩少し寒かった以外は日中は快適が多かった

野宿道具について
・シングルウォールテントを初利用したが感想は今イチ
・朝夕冷える場合は室内結露し撤収等で手間が増える
・シングルはダブルに比べ2℃ほど室内が低温に感じる
・今回のテントは設営手間がそれほど軽減されない
・使用感を総合的に勘案するとシングル効果は余りない
・寝袋は手持ちで最も薄手の寝袋を使ったが少し寒い
・4月の夜間~早朝冷却で5℃程度だと薄手寝袋は辛い
・但し寝袋カバーを追加すれば何とか耐えられる印象

野宿環境について
・今旅は計5泊のうち1泊は宿に泊まり4泊は野宿した
・4泊とも全て水場無し野宿のため事前調達で凌いだ
・野宿翌日も水場まで距離が長いと身体は結構辛い
・今回は何とか凌いだができれば水場近辺野宿が良い

食事と排便について
・食事は最近自分的定番の野菜と卵と肉と豆やシリアル等
・具体的には人参、胡瓜、ゆで卵、ソーセージ、ナッツ、ソイジョイ等
・体調的には旅全体を通して特に問題はなかった
・排便も朝の早い時間にある程度規則的に生じた
・排便する場所で1度難儀した以外は相当順調だった

時間経過
【5日目】
05:30 小高川親水公園
05:45 小高神社 (10分)
09:20 雲雀ヶ原祭場地・東ヶ丘公園 (45分)
11:40 北泉海浜公園 (20分)
14:15 スーパーシシド鹿島店 (20分)
17:50 磯部漁港
歩行時間10:45(休95分除) 歩行距離45km

【6日目】
05:10 磯部漁港
06:33 御製碑のある公園 (22分)
07:38 松川浦環境公園 (12分)
10:00 磯山展望緑地 (10分)
10:48 新地駅
歩行時間4:55(休45分除) 歩行距離19km

旅の写真
14日5:39 朝日が覗く小高川を出発

14日5:50 相馬小高神社と桜

14日7:15 岩の掘削跡

14日7:31 岩を固めた石垣のある家

14日5:20 雲雀ヶ原の競技場(左)と祭場地(右)

14日9:59 水芭蕉群生地

14日10:08 東ヶ丘公園・管理棟付近

14日10:17 原ノ町駅

14日10:49 桜井古墳(国指定史跡)

14日11:20 震災・津波を耐えた「泉の一葉マツ」(福島県天然記念物)

14日11:59 北泉海浜公園・子供達の遊具多数

14日12:14 スノーフレーク(別名:スズランスイセン)

14日13:29 菜の花の続く道

14日13:37 真野川橋手前のトイレと水場

14日14:07 桜並木とサイクリングロード

14日14:16 スーパーシシド鹿島店で食料調達

14日16:49 今が花盛りのナシ園

14日17:20 トレイルルート中最長の堤防道路歩行スタート

14日17:46 松川浦・磯部漁港の夕暮れ風景

14日18:19 磯部漁港の片隅で野宿

15日5:20 太平洋を登る朝日

15日6:01 松川浦沿いの堤防道路約5kmを1時間余歩く

15日6:53 御製碑のある公園でトイレ休憩

15日7:01 松川浦大橋を渡る(右手の漁港施設には寄らず)

15日7:14 松川浦沿いには宿や漁業施設が多数

15日7:30 松川浦沿い道を進み右手の公園へ

15日7:38 松川浦環境公園に到着

15日8:20 原釜尾浜防災緑地道路を進む

15日9:28 釣師防災緑地公園

15日9:34 大波に向かって釣りする2人

15日9:59 磯山展望緑地から徒歩旅ルートの海沿道を振り返る

15日11:24 新地駅で乗車して帰路へ

徒歩旅ルート図(全6日間)

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コメント

  1. appleberry より:

    「岩の掘削跡」は、道の駅なみえを過ぎたところから見られるようになり、すごく気になっていました。たまたま近くにいらした地元の方に尋ねたところ、「かなり昔、まだこの辺が開ける前に修行をしていた僧の皆さんのお墓だそうです。自分の墓を掘って、修行していたらしいです」とのこと。松川浦南の古磯部海岸に野宿したときにも、近くにあったので、かなり広い範囲で見られる遺跡のようですね。

    浜街道トレイルは、スタートにもゴールにも何も表示がないので、ちょっぴり残念でした。

    私が歩いた時は、コ-スができてすぐだったためか、認知度がとても低いうえにハイカーが一人もおらず、大きなリュックを背負って歩く姿が異様に見えたと、たまたま話をした方に言われました。今は、ハイキングをされているハイカーが増えたそうです。

    鉄道がすぐそばを通っているので、初めてロングトレイルをされる方にも安心して勧められるコ-スだなあと感じました。逆に、ベテランハイカーの皆さんには、物足りないかもしれませんね。

    野宿適地??
    海岸沿いは、松の植樹帯になっているので、水を持ってその中に入り込んでしまうと、以外と外から見えず、風も防げてとてもいい野宿ができました。

    いつになるかわかりませんが、みちのく潮風トレイルをセクションで南下しているので、相馬まで着いたら、浜街道トレイルも続けて南下していこうかなと、考えています。

    • takenamik1 より:

      appleberry さん、コメントありがとうございます。
      「岩の掘削跡」に関する情報ありがとうございます。修行僧の墓跡との話に驚かされます!
      みちのく潮風トレイルで山田町の「秀全堂」では修行僧が断食修行のまま成仏した話に驚きました。
      東北山旅で山形県鶴岡市では修行僧が即身仏(ミイラ)のまま安置されている寺の話に驚きました。
      東北地方には修行僧が修行のうえ成仏するという伝統でもあるのかと不思議になります。
      もしかしたら東北に限らず全国を歩けば更にいろいろな伝説があるかもしれません。
      野宿適地?
      海岸沿いの歩行時に松林内で野宿した話に関して私も似た案を一時考えました。
      私も計画段階で海岸沿いの林内での野宿も候補として検討しました。
      ただ林の中ではテント設営のための丁度良いスペース確保に不安を感じました。
      また林内では様々な堆積物などがありテントを傷める事が心配でした。
      上手くテントを張る事ができさえすれば結構快適な野宿地とは思います。
      コースの感想
      私の個人的な感想ですが海岸沿い防潮堤の長時間歩行などは初心者には辛いのではと最初考えました。
      単調で変化の少ない場所を長い時間歩く事は初心者には不安が大きいと思いました。
      しかし改めて考え直すと長時間歩行と行ってもたかだか1~2時間程度の歩行ですね。
      その程度の歩行に不安を感じる様ではロングトレイルを計画する事自体に無理がありますね。
      福島や日本の海の事に様々な思いを巡らしつつ海の変化を楽しむのには丁度良いのかもと改めて思い直しました。
      みちのく潮風とふくしま浜街道の連続トレイル計画が実ります事を祈念します。