北海道縦走旅13日目(忠別~旭岳~層雲峡)

8月27日(木)
天気 晴れ時々ガス曇り、最高気温 26℃

昨日までの2日間の登山で心配事2つは解消した。
第1が水確保の心配で、第2がヤブ歩きの心配。
残る1つの心配事が今日の長距離ルート歩き。
ということで今日の出発予定は夜明け前の4時。

昨夜は動物の来訪もなくまずまず眠れた。
朝3時から朝食を食べながら軽く身体ほぐし。
また荷物整理や寝床整理も並行して作業する。
4時を目指した出発は15分遅れ。
暗く肌寒い中の雪渓歩行は慎重に行う。
そして昨日通った密集ヤブ道に入る。
すると大量の朝露が身体に降り懸かる。

5分ほどササヤブ道を進むとズボンはビショ濡れ。
雨合羽を着れば良かったと思うが後の祭り。
ササヤブを抜けて忠別小屋分岐に出るとヤブ終了。
しかし濡れたズボンから水が伝って靴内部に進入。
あっという間に靴の中もビショビショになる。
防水靴を履いてもこれでは全く効果無し。

昨秋「みちのく潮風トレイル」で靴の水濡れで失敗。
そのため今旅では靴の水濡れ対策を考えてきた。
しかし少しの油断であっという間に靴内部を濡らす。
また一つ身体に染み込む教訓を得た。

忠別岳まではガスが多くて視界は良くない。
その後陽が昇ると共に徐々にガスも薄れる。
6時を過ぎると明るさが増して視界も良くなる。
視界が増すと高根ヶ原方面の見通しが良くなる。
すると先の方にササヤブがあるのが見える。
今更手遅れだと少し迷った後に雨合羽を着る。
その後ササヤブを通過すると意外に朝露は少ない。
そして徐々にガスが晴れて日差しが増し始める。
6時20分に着た雨合羽を7時10分には脱いだ。
自己判断のタイミングの悪さに呆れてしまう。

そんな状況で通過した高根ヶ原は本当に驚いた。
標高1700mにある広大な溶岩の大地。
ほぼ平坦な地形が1km超四方に繰り広げられる。
更に時期外れのコマクサを見つけてまた驚く。
高根ヶ原前後では2組、計4人の登山者とすれ違う。
この人達は昨日どこに泊まったのか不思議に思う。

8時過ぎに白雲小屋を通過する。
実は今回の登山では白雲小屋も宿泊候補の一つだった。
だがネットで調べると今年は建替工事のため利用不可。
早朝に出会った4人はここに泊まったのだろうか?
建替工事現場には重機があり作業員が数人作業中。
また工事中の小屋脇には男性が1人佇んでいる。
白雲小屋過ぎには登山道を駆け下りる青年とすれ違う。

目撃した光景を自分なりに分析し推測を試みる。
工事中の事情を知らず宿泊で訪れる登山者はいる。
小屋脇の男性や擦れ違った青年は白雲小屋関係者。
知らずに訪れた登山者に小屋関係者が仮設テント等を提供。
早朝に出会った4人は工事作業小屋周辺に泊まったと推測。

当初の計画では白雲岳には登らずに先へ進む予定。
しかし予定より早く進んだため予定変更し白雲岳に向かう。
白雲岳では素晴らしい絶景を堪能する。
これから登る旭岳は勿論、高根ヶ原やトムラウシも一望。

白雲岳の先は北海岳を経由して旭岳を往復し黒岳に向かう。
北海岳ではカメラを設置して佇む男性に出会う。
何をしているのか尋ねたら雲のコマ撮り中との事。
2秒間隔で写真撮影し繋げると雲が流れる動画が完成。
撮影間隔はその日の雲の流れを見て微調整するとの事。
なかなか根気の要る作業だが良い動画になる事を祈る。

間宮岳分岐地にザックをデポして旭岳をピストン登山。
旭岳に向かう頃から山頂に雲が湧き上りつつある。
山頂到着時は西側がガスで東側は眺望ありの対照的景色。
時間に余裕がないため8分ほど滞在後に下山開始。

旭岳から中岳分岐に向かう途中で作業中の男性と出会う。
「登山道整備ですか?」と尋ねると男性は少し間をおき、
「登山道整備と地質調査の試行錯誤中」の様な話をする。
多少難しい話を私なりの解釈で要約する。
この登山道は緩い傾斜を雨水が流れ徐々に洗掘が進んだ。
昔洗掘対策で大きな岩を敷き詰めた事があった。
しかし地下は永久凍土で重い岩は凍土溶解の一因かもしれない。
また周辺一帯が階状土という特殊な地形で管理が難しい。
現在の作業は効果を検証する試験の様な作業との事。
登山道管理の大変さの一端を知り成果がある事を祈るのみ。

その後黒岳まで到達して漸く目標完遂の目安が立つ。
一方で黒岳まで30km近く歩き相当疲労も蓄積した。
黒岳からは標高差1400m距離5kmの下り道。
登山がほぼ終了したという安堵感と共に疲労。
また早く宿に着いて温泉に入り食事したい願望。
下山途中に集中力が低下して3回転んだ。
ケガ無く無事下山したが下山時の危なさを改めて認識。

予約した層雲峡観光ホテルには予定通り17時に到着。
3日振りの温泉に入りバイキングを1時間以上堪能。
念願の大雪山系縦走を果たした余韻に浸り就寝した。

忠別避難小屋を出発

炎のような朝日を眺め忠別岳へ

忠別岳山頂は一面ガス

陽が昇ると共にガスが薄れる

高根ヶ原でコマクサ発見

高根ヶ原で擦れ違った3人組を振り返る

白雲小屋(中央)へ向かう道

建替工事中の白雲小屋

白雲小屋(中央)と高根ヶ原(左)を振り返る

白雲岳を目指す

白雲岳山頂標識と旭岳(左奥)

白雲岳から高根ヶ原(右)やトムラウシ(中央上)遠望

北海岳に到着

北海岳で雲の流れをコマ撮り中

思わず魅入る彩色の御鉢平

ザックをデポして旭岳ピストン登山

ミヤマリンドウの群生

大雪山旭岳山頂に到着

登山道を補修実験中

鮮やかな赤い葉のクロマメノキ

お鉢平展望台からガス気味の眺望

黒岳石室

黒岳への登り道

黒岳山頂から南方眺望

黒岳下山道からの展望

黒岳リフト7合目乗り場

下山終了後の層雲峡

層雲峡観光ホテルに宿泊

宿の夕食バイキング

北海道縦走旅13日目の経過
04:15 忠別岳避難小屋・発
05:15 忠別岳
07:20 高根ヶ原分岐
08:10 白雲岳避難小屋 (休4分)
08:50 白雲分岐 (2分)
09:10 白雲岳 (休5分)
09:45 白雲分岐 (3分)
10:27 北海岳
11:08 間宮岳分岐 (2分)
11:50 旭岳 (休8分)
12:36 間宮岳分岐
13:13 中岳
13:45 お鉢平展望台 (1分)
14:15 黒岳石室
14:34 黒岳 (休13分)
15:28 黒岳リフト七合目乗り場
16:02 黒岳ロープウェイ黒岳駅
17:00 層雲峡観光ホテル・着
歩行時間 12:00
歩行距離 35km

1日目 歩行時間 9:00 歩行距離 19km
2日目 歩行時間11:20 歩行距離 24km
3日目 歩行時間12:00 歩行距離 35km
合 計 歩行時間32:20 歩行距離 78km

北海道縦走旅11~13日目の登山ルート

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