徒歩旅・登山での失敗の考察

下山時の転倒について
大雪山縦走は運にも恵まれ無事下山できた。
しかし一つ間違えば大怪我の可能性もあった。
最終日の黒岳からの下山時に3回転んだ。
3度目の転倒時は転倒場所が運が良かった。
前のめりで顔と手から転んだが平地で救われた。
岩場や樹木に当たれば大怪我の可能性もあった。

百名山登山でも下山時に転んだ事がある。
印象に残る下山時の転倒は至仏山と八幡平。
至仏山の時は急ぎ過ぎて転び手に裂傷を負った。
八幡平では急坂の下りで足を滑らせ突き指した。
どちらも暫く痛みが続いて難儀した記憶。
(突き指は今でも後遺症が残る)

今回と過去の転倒を顧みて原因を考察した。

第1は「集中力不足
今回は3日間大縦走の最終盤で宿に思いが巡る。
宿到着後の洗濯~風呂~食事と段取りを考える。
黒岳までは登山に集中したが下山時は集中力が欠けた。
最後まで集中力を保つ事の難しさを感じた。

第2は「意識と身体の反応差
今回最終日は35kmの長距離縦走となった。
疲労が蓄積すると意識と実際が微妙に乖離する。
足を上げても意識は10cmだが実際は8cmになる。
ほんの僅かの意識と実際の誤差が転倒に繋がる。

第3は「安易な判断
下り坂は上り坂よりも体力面で楽になる。
楽な歩行時には更に楽したい気持ちが働き易い。
時間的にもコース的にも楽な方を選ぶ傾向がある。
進行方向・次の一歩の選択は意外に重要と思う。
「次の一歩」選択は安全の最優先が大切。

第4は「足の置く場所
日常の歩行時は舗装道路の歩行がほとんど。
日頃は足の置き場への注意は薄い。
一方登山道には石や樹の根や落葉がある。
一歩一歩を慎重に選択する必要がある。
登り坂では割と注意深く次の足置き場を選択する。
しかし下りの際は意外に足の置き場の注意が疎か。
第3の点と関連するが「次の一歩」場所が大切。

今回の登山では第1~第4まで全て当てはまる。
特に2、3、4は僅差の話だがケガの明暗に直結。
至仏山では1、3、4 八幡平では2、4が該当した。
私自身注意しているつもりで毎度同じミスを繰り返す。
何度も失敗し更に痛みを感じ身体で覚えるしかないか?
なお下りで腰が引け重心が崩れ転倒する場合もある。
これは登山技術の話になるため今は割愛する。

靴の快適確保について
登山や徒歩旅では靴の2大問題に悩み続けている。
1点目は靴による足の痛み
足痛については前回すでに記事にした。
2点目は靴の防水
防水靴を履いているのに毎回浸水に悩まされる。
浸水するだけなら不快だが我慢できる。
浸水で足濡れが長引くと足がふやけて痛み出す。

今旅では靴の水濡れを3回経験した。
1度目は8月27日早朝の大雪山縦走時のヤブ露。
雨が降っていないため防水対策せずに出発。
出発後間もなく大量のヤブ露の道が数分続く。
撥水性パンツと防水靴でも瞬く間に靴内へ浸水。
衣服や肌を伝わり靴内に容易に水が入る事を痛感。
これは雨合羽を着ていれば防げた。

2度目は8月29日の塩狩峠前後での雨の峠越え。
出発時は曇りだが徐々に降雨になり雨合羽を着用。
ゲイターは着用しなくても大丈夫と判断した。
だが防水ズボンの性能が悪く30分ほどで濡れ出す。
そしてズボンから水が伝い1時間後には靴に浸水。
大雪山縦走でヤブ悪路を想定し古い雨合羽を持参。
古い雨合羽に自分で撥水処理して準備した。
手間暇かけて撥水処理した割に効果はほぼ無し。

3度目は8月30日朝から寒い風雨の風連への道。
出発時から寒さと風雨が4時間ほど続く。
旅行前に考えてきた方策を試す時が到来。
素足に薄い靴下を履き極薄ビニール足袋を重ねる。
極薄ビニール足袋はネットで探した完全防水品。
更に靴下を重ね履きしてから防水靴を履く。
足周りの厚さが増すが試着では大丈夫と判断。
歩行を続けると靴内への浸水で冷えを感じる。
しかし素足に濡れは感じられない。
一定の防水効果はあったと思われた。
一方で別の問題が発生していた。
長時間歩行で徐々に足が浮腫み圧迫感が強まる。
最初は我慢したが徐々に我慢できなくなった。
幸い雨が止み靴下とビニールの三重履きを脱ぐ。
他にビニールと靴下の重ね履きは徐々にズリ下がる。
結論として快適度より不快度の方が高いと思われた。
靴の防水対策は本当に難しいと改めて感じた。

2年前の四国遍路では変わった履き物お遍路さんを見た。
丈夫な地下足袋の様な履き物の外国人のお遍路さん。
後日アマゾンで調べると似た商品がヒットする。
果たしてどの様な品物か多少興味が沸く。

長旅と靴の関係では先人も苦労している。
「田中陽希」は百名山制覇で15足の靴を履き潰した。
・期間208日(H26.4.1~H26.10.26) ・移動距離7800km
ヤマケイ参考記事:日本百名山一筆書き踏破完結

「塩沼亮潤」は大峯千日回峰行の地下足袋と足で苦労。
以下-塩沼亮潤・著「人生生涯小僧のこころ」82頁-から抜粋
参籠所の玄関に腰をかけ、地下足袋を自分の足に履かせていきます。
本当は昔ながらに草鞋を使いたかったのですが、山の厳しさゆえ、草鞋ではおそらく雨が降ると一日五足も六足も使わなくてはなりません。
また木の根っこや岩場で爪を剥がす危険もあり、泣く泣く地下足袋を使いました。しかし、それでも四日か五日経つとボロボロになってしまい、使えなくなります。
行のはじめのうちはいいのですが、三日も歩けば足が腫れあがり、足袋の中になかなか足が納まらなくなります。
それを無理やり押し込んで、五枚の小鉤(留め具)をぎりぎりのところで留めます。
塩沼亮潤=金峯山寺1300年で2人目の大峯千日回峰行満行者

来年私は家庭事情で長旅挑戦しない。
再来年以降も年を追い難しくなりそう。
機会があれば別の道を考えてみたい。

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コメント

  1. との より:

    躓く、私も60歳前後からアスファルト舗装の道を歩いていてもたまに躓くというか、引っかかることが多くなりました。要は頭と足の差、足の運動能力が減退したのに、脳はそのままということではないか?ということなのですと思います。運動不足と老化が進んでいる証でしょう。一緒にしないで~(山口百恵 わかる人は分かる)と思っているいるでしょうが、私の実感です。

  2. takenamik1 より:

    挙げればキリが無いので書きませんでしたが私も同様です。
    私の場合は朝のジョギングが日課ですが、最近も転んで手と膝を擦り剥きました。
    半年ほど前にも一度転んで注意しているつもりなのにまた転ぶ自分に呆れます。
    1度目も2度目も目撃者がいて恥ずかしかったです。