南八甲田周回縦走2023(酸ヶ湯-猿倉-駒峯-櫛峯-横岳-逆川-酸ヶ湯)

1 経緯
残雪期の櫛ヶ峰には2年続けて登山している。
一昨年は強風で途中断念、昨年は周回縦走で登頂。
ただ昨年はコース取りで多少改善が必要と感じた。
そこで今年はコースを微修正しようと再挑戦した。
昨年は逆川~櫛~駒だったが今年は猿倉~駒~櫛。
今年は去年と逆周りでコース修正しようと考えた。
ただ昨年4月20日で今年4月25日、残雪少量が心配。

2 登山概要
4月25日(火)は前日までの悪天から天気一転。
前日までは雨天や強風、寒い日が続いていた。
当日の天気は晴れ。出発時気温は10℃程度。
出発時の風速2m前後の弱風。
少しガス気味で遠方眺望は少しモヤっていた。
今回歩いたコースの留意点を記す。

・酸ヶ湯~猿倉岳
八甲田ホテルまで国道103号沿いを歩く。
ホテル前の駐車場端の雪面から入山する。
(積雪状況で入山地点は微調整が必要かも)
国道沿いの小尾根を辿り昨年の課題地点到達。
昨年は沢に架かる雪面を運良く渡れた。
今年は沢雪面が無く沢に架かる倒木を頼りに渡る。
沢を渡った後は緩斜面雪面を選び沢から脱出する。
その後も谷地風や沢筋風な場所を通過して進む。
広々とした雪原も何度か通り爽快に歩ける。
残雪期登山ではその年々の積雪状況で臨機応変対応。
結果的に猿倉までは昨年と乖離したルートを辿った。
(昨年と今年のルート比較したスマホ地図を掲載)

・猿倉岳~駒ヶ峯~櫛ヶ峯
猿倉岳以降は昨年とほぼ同様で歩き易さ優先。
アップダウン歩きを極力回避しトラバース気味歩き。
残雪が豊富で見通しも良くルート調整は割に楽。
駒ヶ峯山頂周辺は樹林帯なので樹を避けつつ歩く。
櫛ヶ峯の登りは歩き易い雪質で風も割と穏やか。
このためコース取りも余り気を遣わず登れた。

・櫛ヶ峯~横岳~逆川岳
櫛ヶ峯からの下りでは一部に急下りがある。
万が一滑って転倒すると停止が難しい可能性。
それでも急斜面を利用し長靴で滑り下りてみた。
運良く転倒せずに滑り下りる事ができた。
その後は中間地点の広大な雪原を通過し横岳へ。
横岳の登りも多少急だが凍ってなければ大丈夫。
横岳の後は逆川岳へ緩い下りが楽しめる。

・逆川岳~城ヶ倉渓流~酸ヶ湯
逆川岳の先で城ヶ倉展望地から尾根沢の急下り。
昨年は尾根を登ったが今回は沢を下ってみた。
半分ほど下ると沢の雪に空洞の穴が見え始める。
最初の穴は小さいので脇を通過して下る。
しかし次の穴は大きくこの先更に沢雪は減りそう。
これ以上沢下りは無理と判断し尾根に登り返す。
尾根を下って行くと今度は急落尾根に変わる。
尾根をそのまま下るのは無理と判断し東斜面に移る。
東斜面も結構急だが何とか下りて雪面まで下りる。
その後城ヶ倉渓流を素足になって徒渉する。
渓流の水深は脛まででギリギリ長靴で渡れたかも?
その後新湯を通過した時は温まりたいと感じた。
ここを通過した時に丁度カモシカを見かけた。
カモシカは新湯で温まっていたのかもしれない?
新湯以降は所々で残雪名残を経て駐車場に到着。

3 出会い
櫛ヶ峯山頂で87歳の民謡歌手スキーヤーと出会う。
今冬は既に櫛ヶ峯に4回登ったとの事。
山に来なければ認知症が進むため山に登ると言う。
昔は民謡大会で県内3位になったそうだ。
一時は歌手を目指したが諦め今は山賊?(族)になった。
津軽山唄で遠くまで届く美声を披露された。
耳が少し遠い以外は50歳代でも通じる若さに圧倒された。

私の登頂の約10分後に初老男女スキ-ヤ-3人が到着。
丁度民謡タイムで私と共に民謡歌手に拍手を送った。
3人組は民謡歌手とも知り合いらしく話をしていた。
彼らは皆何れも睡蓮沼から辿り着いた様だった。

櫛ヶ峯迄の前半で1人、後半で3組のスキ-ヤ-と会った。
横岳で出会った男性2人組スキ-ヤ-と少し立ち話した。
横岳まで登ってきてここでスキーして帰るらしい。
2人は城ヶ倉大橋から来たと思われた。

4 感想
縦走ルート中の99%は豊富な残雪に恵まれた。
昨日までの冷え込み等で積雪表面は薄氷膜。
これはフィルムクラストと言うらしい。
ネットで調べるとスキーヤー憧れの雪状態との事。
壺足登山者には優劣は特別ないと感じられる。
ただ平均2cm前後雪に沈む程度の雪の堅さで丁度良い。
歩き易さの点では過去最高の残雪歩きと感じた。

今回は軽アイゼンとプラ製スノーシューを持参した。
雪が堅めだったためスノーシューの出番は全く無し。
午前早い時間帯は雪が堅めで軽アイゼンでも良かった。
ただ櫛ヶ峯までは軽アイゼン無しで歩き特に支障無し。
櫛ヶ峯の登りでこの日唯一軽アイゼンを装着した。
ただ軽アイゼン無しでも滑る心配はほぼ感じなかった。
寧ろ軽アイゼンに雪が付着し歩き辛い感覚が強かった。

縦走最終盤では沢と尾根を使い分けて下った。
最初は沢の残雪を利用し下りたが沢が徐々に雪解け中。
これ以上沢は下りれないと感じて尾根に登り返した。
少し尾根を下ると今度は急斜面尾根に遭遇してしまう。
上から見下ろした場合は先の斜面状況が分からない。
下から見上げるのと上から見下ろす事の一長一短を感じた。
下から見上げた時は先の斜面の状況がそれなりに分かる。
上から見下ろす時は全体の地形が大まかに分かる。
それぞれに長所と短所がある事を今回学べたと思った。
最初の猿倉への登り時は登り易い所を選んで歩けた。
昨年は猿倉から下ったが急斜面に遭遇した時もあった。
今年の方が道選びでは良いルートを選べたと思った。

城ヶ倉渓流までの沢と尾根の使い分けは今回も課題を残した。
このルート選びはその年の積雪状況も絡むので簡単ではない。
今年でこのルート挑戦は一区切りにするかもしれない。
ただ気が向いたら来年再挑戦するかもしれない。

城ヶ倉渓流徒渉後は昨年より良いルート選択ができたと思う。
新湯(廃湯)跡を通り時間があれば湯に浸かりたいと感じた。
去年は急傾斜やヤブを通ったが今年は省苦労で歩けた。
総合的には城ヶ倉の下り以外ほぼ良好に歩けたと感じた。

5 山歩き写真
地獄沼から大岳の眺望が良好

八甲田ホテル手前の雪面を登り入山

沢に架かる倒木を伝って対岸へ

これから登る左から猿倉~駒ヶ峯~櫛ヶ峯の稜線を展望

谷地帯を迂回通過した際の八甲田大岳の眺望

左斜面が急傾斜の稜線を進む

日輪(日傘)下の猿倉岳を目指し進む

猿倉岳山頂直前の231指導標

猿倉岳山頂から(右)乗鞍と(左)赤倉、中央奥に戸来岳

次に駒ヶ峯に向かう

駒ヶ峯山頂標識と八甲田大岳・小岳・高田大岳(標識脇に微か)

櫛ヶ峯に向かう

櫛ヶ峯の登坂途中で縦走経路を振り返る

櫛ヶ峯の雪面にスキーヤーのシュプール

櫛ヶ峯山頂から左に横岳、右に北八甲田連峰

横岳(左奥)に向かって一端下る

横岳山頂手前から北八甲田眺望

逆川岳山頂標識と日輪

下山道から酸ヶ湯野営場と大岳眺望、手前は城ヶ倉渓谷

尾根道から一端は沢筋道へ下り進む

沢を下ると穴が現れ再度尾根道に切替え

城ヶ倉渓流が見える

廃湯跡?の新湯を通過。入浴後?のカモシカと遭遇

出発地点・酸ヶ湯駐車場に無事着

130台駐車できる場所に朝は約10台、帰宅時は約5台駐車

昨年と今年の登山コース比較(昨年-青線、今年-太線)

6 歩行のデータ
南八甲田周回縦走の時間経過
08:13 酸ヶ湯公共駐車場
08:19 八甲田ホテル
10:17 猿倉岳 (4分休)
10:58 駒ヶ峯 (12分休)
12:10 櫛ヶ峯 (25分休)
13:26 横岳 (1分休)
13:59 逆川岳 (3分休)
14:56 城ヶ倉渓谷の徒渉 (計14分)
15:15 新湯 (1分休)
15:54 酸ヶ湯公共駐車場

歩行時間 6:50 (休憩計50分除く)
歩行距離 19km

【参考】昨年の歩行時間との比較
        今年 昨年 (単位:分)
酸ヶ湯~猿倉岳 124  120
猿倉岳~駒ヶ峯 037  033
駒ヶ峯~櫛ヶ峯 060  044
櫛ヶ峯~横岳  051  069
横岳~逆川岳  032  037
逆川岳~城ヶ倉 054  083 
城ヶ倉~酸ヶ湯 044  041
計       402  427
※昨年と今年で酸ヶ湯~猿倉間の時間差が少ない
本来去年が下りで今年が登りでもう少し差があるハズ
これは今年のルート選択が良かった結果と思う

南八甲田周回縦走のコース

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする