以前ブログで自分も糖尿病予備軍ではないか不安があることを書いた。昨年8月の健診で糖尿病の指標の一つHbA1c値が高め。(5.5で基準値上限)
昨年8月の健診で糖尿病の指標の一つHbA1c値が高め。(5.5で基準値上限)
また献血時に糖尿病の別の指標グリコアルブミン値も通知され昨年10月時には15.6。
通知書には「基準は16.5未満だが基準値内でも15.6%以上の場合は注意が必要」とある。
基準値について気になり色々調べたことは以前のブログに書いた。
自分なりの結論は「近い将来糖尿病になる可能性があるので生活改善した方が良い!」
ということで昨年9月頃から意識して食生活の見直しを始めた。
当初は試行錯誤しながら始めたが、最近はようやくパターン化した。
現在の標準食事パターンは、朝食パン1枚、昼食麺類(普通盛)、夕食御飯1杯(少な目)。
見直し以降の炭水化物量は、朝食と夕食は約半減、昼食は約2割減らした。
見直したのは主食(炭水化物)のみで副食(主菜、野菜類)は従来と変わりない。
但し前回のブログで書いたとおり、副食で卵は多めに摂ることに努めている。
また自分は間食をそこそこ食べていて普通?程度。甘味摂取の量は従来と同量。
その結果、10月以降の献血時のグリコアルブミン値の変化。
10月 15.6% → 11月 14.9% → 12月 14.3% → 2月 14.7%
この結果から炭水化物の摂取量とグリコアルブミン(血糖)値は関連していると推測。
因みにグリコアルブミン検査が始まったH21.4~H28.8まで39回献血した状況は、
グリコアルブミン平均値が14.8で、最高値が15.4で、最低値が13.9だった。
最高値、最低値とも冬場の1~2月に記録しており、冬場は運動不足なのに食事は変わらず摂ること、大雪の時は雪片付けが結構な運動量になること等関係していると推測。
また50歳を過ぎたころから昼食後に特に眠気をもよおすことが多くなった。
これも炭水化物の量を減らしてから眠気が生じることが少なくなった。
ただし経過観察はまだ5か月ほどなので、これからも経過観察を続けたい。
さて自分としては効果を感じる糖質制限だが、前回紹介した岩田医師は懐疑的。
岩田医師の主張の要旨(「食べ物のことはからだに訊け!」第1章)は、
糖質制限食が体に良い(=健康的な体型を作る)かどうかは人それぞれ。
夏井医師(「炭水化物が人類を滅ぼす」著者)の場合は体に健康的な効果が現れたが、岩田医師には逆効果(糖質制限したら太った)となった実体験を先ず語る。
そして糖質制限の効果を否定しないが、糖質制限が向かない人も多いと語る。
岩田医師は糖質制限食を批判する人の著作に対しても根拠が不明確とだと指摘しつつ、糖質制限食を推薦する人の著作に対しても誤りを指摘し、糖質制限食が統計的に健康に有効とは断定できないと語る。
岩田医師は、個々人が糖質制限食を行った場合のダイエット効果が人により異なることと同様、糖尿病患者に対する糖質制限食の効果も違いがあるから、各人が試してみるしかない、と結論付けている。
ここでAmazon書評に掲載された2人の医師のコメントがあるので以下抜粋。
「岩田健太郎先生は私の尊敬する医師の一人です。(中略)
この著作は、糖質制限食の元々の意味合い「糖尿病の治療食」という視点が全く抜けており、糖質制限食を「トンデモ」と誤解させるおそれがある本ではないでしょうか。(中略)
糖尿病患者さんにとって糖尿病の合併症は「今、そこにある危機」です。さらに、糖尿病は「完治しない」ですが、2型糖尿病の方に糖質制限を続けると、食後高血糖はおこらず、血糖の変動幅も穏やかになりHbA1cも正常化する方が多数おられます。完治せずとも糖尿病の合併症のリスクは大幅に下がると考えられます。(後略)」
「内科医です。著者の岩田先生については、これまで感染症医、内科医として著書にも触れ大変尊敬してきました。しかしこの本はいけません。(中略)
糖質の作用を考えると、膵臓の疲弊はもちろん、日々繰り返されるグルコース、インスリンスパイクがどれほど血管内皮を傷つけるか、そして細胞増殖因子でもあるインスリン分泌過多の発がんリスク、アルツハイマーとの関連(ほぼ間違いないと言われている)、どれをとっても糖質は全ての人が制限すればするほどよいのは間違いないことです。その点で雨後のタケノコのごとく乱立する、ナントカダイエットとは全く異なる(後略)」
2人の(無名の)医師が共に岩田先生を尊敬する医師と評価しつつ、糖質制限食に疑問を投げかけた姿勢を厳しく批判している。
これについて医者でもない私がモノを言うのは口幅ったい。以下は読書感想。
先ず、岩田先生の物の見方考え方には共感することが多い。
人間は各人各様であり効果にも個体差がある、という点はそのとおり。
同じ物を食べても太る人もいれば痩せる人もいることも、ある程度納得する。
しかし、「同じ物を食べても」の「同じ物」が何かは重要な点。
例えば、昔は食用とされたキノコが今は毒キノコとされるケースがある。
昔は食用の「スギヒラタケ」は、腎臓の弱い人にとり危険なため、現在は毒キノコ。
(参考サイト:https://r25.jp/topic/00037818/)
一部の人に危ない物を毒扱いする一方、食物アレルギーの小麦等は毒扱いしない。
前回ブログで「レバ刺禁止」した厚労省の対応を批判した岩田医師の本を紹介した。
食には危険がつきものであり危険防止には食物を扱う人間の注意が重要ということ。
「レバ刺」も「ふぐ」も「昔は食用だった毒?キノコ」も食材処理や食べ方に留意すれば大多数の人には害のない食べ物。
稀に危険があることを理由に一律禁止するのは食の可能性を狭めることに繋がる。
その観点からは岩田先生の「自分で試して確認してみる」という主張には賛同する。
岩田先生はその主張を糖尿病患者にも拡大し糖質制限食が自分に合うか試してみれば良いと主張する。
確かに人間には個人差があるので「試してみる」ことは大切だ。
しかし一方で、医者としては無責任な発言とも感じられる。
第一に、岩田先生はダイエット目的と糖尿病予防目的の糖質制限食を同一視している。
ダイエットは個人の自由なので、好きにすれば良いこと。
一方糖尿病は悪化すれば足切断、視力喪失、人工透析等の重大な危機が生じる病。
病気治療にも長期に多額の医療費が生じ、個人にも社会にも重大な損失。
更に医学界は今まで「糖尿病治療には厳しいカロリー制限が必要」と宣伝してきた。
「カロリー制限は不要で糖質制限が有効」なら医学界全体の大問題のはずで、岩田先生を含む個々人の医者にも真剣に考えてほしい問題だと思う。
医学は、個々人レベルの相違点を踏まえつつ、人間に共通する課題とその解決方法を探る学問だと思う。
岩田先生は実体験のみを根拠に「個々人に任せればよい」と主張している訳ではない。
「糖尿病の栄養バランスについては炭水化物、タンパク質、脂質の理想的な比率については分からないので患者個々の事情に合わせて個別化しましょう、と米国糖尿病学会のガイドラインでは推奨」していると述べ、根拠も書いてはいる。
しかし私が読んだ狭い書物の範囲だけでも、実際の医療現場で糖尿病に糖質制限食の効果が現れていることが報告されている。
できるならば医学界は、実際の医療現場の情報を共有しながら、患者のためにより良い情報を提供することにもう少し前向きになってほしい。