みちのく潮風トレイル・海のアルプス縦走【総括】

6月25日(日)からみちのく潮風トレイル旅に出ました。
岩手の海沿いを7日間歩いて来ました。
今回は旅概要を総括報告します。
旅中の出来事等は改めて記事にする予定です。

1 経緯
みちのく潮風トレイル(MCT)は2年前に全区間完歩しました。
ただし時間の関係で短縮歩きした箇所が複数あります。
特に海のアルプス区間は計画が甘く複数回短縮しました。
短縮歩きで歩けなかった区間には多少未練がありました。
そこで今回未練解消と体力測定を兼ね再挑戦しました。
歩いたコースは「海のアルプス」と命名された区間です。
前回とは逆に浪板から普代まで北上する事にしました。

2 目的
今回の旅では大きく3つの目的を持って歩いた。
第一の目的は、前に歩けなかったルートの歩行。
第二の目的は、年と共に衰える体力の測定と強化。
第三の目的は、身体の不調(皮膚や歯)の改善。
今回の概要報告は目的への取組み結果を中心に記したい。

3 概要
旅に出かける前に予め2つの事を覚悟して出かけた。
1つ目は今回の6泊の旅は全て野宿とする事。
2つ目は極力事前準備した電源で対応する事。

2年前に2年間3回分割の旅では計6泊宿に泊まった。
海のアルプス時も2回宿利用したが時間に追われ旅した。
その結果時間が足りず何度か短縮歩きせざるを得なかった。
予め宿を予約すると遅刻は極力しない様に心掛ける。
一方で知らない場所では思いがけない事態に遭遇する。
道迷いは数え切れず発生するし工事迂回や難路も現れる。
一方で海のアルプスは適当な宿泊地は非常に限られる。
結果的に多少無理気味の計画も祟り計画遅滞が何度も発生。
そこで今回は宿予約せず時間を気にせず歩こうと考えた。

宿予約しないと幾つか気になる問題が発生する。
・栄養不足や身体休息が不十分になり易い
・入浴できず洗濯もできないため不衛生
・宿で利用可能な電子機器の充電が不可能
1、2点目は我慢や心掛けで多少は対応が可能。
しかし3点目の充電はほぼ無理(コンビニ等で多少可)。
そのため事前準備と旅中の機器節電利用が鍵になる。

結果的には大問題は無く旅を終える事はできた。
では旅前に掲げた3つの目的の成果(?)概要を記したい。

(1) ルート
今回の区間は4年前の種差[発]~吉浜[着]で一度歩いた。
4年前は開通後間もなくで情報不足や工事迂回が多かった。
特に海のアルプス前後は予定時間超過がとても多かった。
また予約済み宿に遅れない様に短縮路を選択した事もあった。
そこで今回は宿時間の拘束を受けない様全泊野宿で計画した。
それでも結果的に計画時間を超過し一部で短縮路を歩いた。

今回歩いた目的に前回歩けなかった箇所の歩行があった。
1日一箇所は前回歩けなかった所を歩けた点で良かった。
また前回工事中だった所が改修された事も分かり良かった。
一方で以前と同様迂回中箇所があり今回も迂回でミスった。
また林道歩行中に標識が消失し彷徨う事態も発生した。

今回歩いてみちのく潮風トレイルの難しさを改めて感じた。
前回は震災後の改修が未だ続いてもやむを得ないを思った。
ただ今回はコース自体に多少の問題を感じた。
全線開通し3年以上経つのに依然として迂回路がある。
コースには遊歩道や登山道と共に林道や鋪装道が混在する。
遊歩道や登山道なら工事等での迂回はあまり発生しない。
一方で林道は森林伐採や開発等で変化する可能性が大きい。
そして一回林道が変化してしまうと元に戻らない事も多い。
その様な林道をトレイルコースに含めて良かったのか?

またコースの要所には歩行者数カウンタが置かれている。
私が5箇所でカウンタを見たと思うが2箇所で人数0。
(カウンタは1か月単位でリセットされる)
浄土ヶ浜のカウンタが44で他の2箇所は1と2だった。
旅に出る前にネット検索すると新たな情報を知った。
トレイル情報をまとめた地図本とデータ本が出ている。
1冊1650円で全10区間、地図とデータ全冊揃えると3万円超!
みちのく潮風トレイルは人気に格差を感じさせられた。
そして人気ある区間は全般に整備が行き届いている。
一方で不人気区間は刈払いが手薄等の問題が感じられた。

(2) 体力
歩いて感じた事はやはり「海のアルプス」コースは辛い。
幸いに天気には恵まれ晴れ模様の日が多かった。
また気温も極端に高い日は多くはないと感じた。
それでも3日目と4日目は宮古市最高気温は30℃超。
特に4日目は33℃近かったため途中で極端にバテた。

全体を歩いた第一印象は4年前より体力が落ちたと感じた。
疲労を抑える様にペース抑制し歩いた分ペースも落ちる。
全体的に前回の歩行より数%ペースダウンしたと思う。
単純比較は難しいが浄土ヶ浜~中ノ浜間の時間を比較した。
前回は11:47中ノ浜・発~(途中8分休)~15:55浄土ヶ浜・着
今回は14:14浄土ヶ浜・発~(途中10分休)~18:33中ノ浜・着
前回は240分で歩いたが今回は249分で4%ほど前回比遅れ。
但し気温(前回24℃今回33℃)、食料補給、1日総移動が違う。

また今回は前回の経験を生かせている点も異なる。
前回は水場情報が乏しかったが今回は経験を活かせた。
また次の目的地までの歩行も前回より見通し易かった。
その点では前回より疲労感を抑えつつ歩き続けられた。
そんな状況で前回時間をオーバーした事で衰えを実感。
7日間の旅が体力強化に寄与したかも余り実感は無い。
実は旅後に腹を壊して下痢が続き寧ろ体力低下したかも?

(3) 病状変化
5年目の皮膚疾患は全般的に改善しても冬場は少悪化。
自宅にいると皮膚疾患が完治していない事を時々感じる。
しかし1週間以上旅をすると皮膚疾患が頭から消える。
皮膚疾患は免疫系や代謝系で身体が無意識に反応する病。
1日10時間以上歩く様な旅は身体の優先度が変化する感覚。

旅に出る前に気になったもう一つの身体問題は歯茎鈍痛。
旅に出る約1週間前から左下奥の歯茎内部から鈍痛発生。
強く痛い訳でないが左奥歯で堅目の食物を噛むのが辛い。
自分の感覚では虫歯ではなく歯肉炎の類いと感じた。
旅の途中で痛みが増す事も怖れたが人体実験的に旅に出発。
10年来様々な旅を繰り返す中で旅中の歯トラブルは無し。
旅中は歯をほとんど磨かないが寧ろ歯は快調に感じる。
旅中は栄養不足で歯に余分な食べカスが無い事が要因と推測。
1週間の旅で歯茎内部痛は半分ほどに減った様に感じた。

4 写真
17時8分に浪板海岸駅を出発

1合目から約1時間歩いて山頂

鯨と海の科学館隣接の船越公園で夜明け

荒神社の山通過時の木漏れ日

漉磯から1時間40分で山頂到着

山田町中央公園で野宿の朝

高台から見下ろす山田湾の養殖いかだ

魹ヶ崎灯台とノハナショウブ?

音部漁港で野宿

月山山頂に到着

道間違いで遠回り後やっと辿り着いた浄土ヶ浜

震災パーク中ノ浜で野宿

三王岩

茂師漁港で野宿の朝

おかとらの尾

鵜の巣断崖

北山崎での夜明け

黒崎灯台

海が穏やかな断崖沿い歩き

普代水門

5 コース概略

1日目(浪板~鯨山~船越)
[浪板~鯨山]最初の舗装道後は大半が登り山道。登600m、距離3.7km
[鯨山~青少年の家]若干登りを含む下り山道。下460m、3.3km
[青少年の家~船越公園]若干登りを含む下り林道後舗装道。下140m、6.2km
本日の総移動距離・標高差 距離13km、登り標高740m、下り標高750m

2日目(船越~漉磯~霞露ヶ岳~山田)
[船越~小谷鳥]途中に100mと300mの登り下りを含む林道。距離12km
[小谷鳥~漉磯]途中に200mの登り下りを2回含む林道。距離13km
[漉磯~霞露ヶ岳]標高420mまで直登後に下り登りして514m山頂。3.2km
[霞露ヶ岳~参道口]山頂から約270mをほぼ一気下る道。2km
[参道口~中央公園]一部林道を経由後は平坦な舗装道。12km
本日の総移動距離・標高差 距離42km、登り標高 1800m、下り標高 1790m

3日目(山田~姉吉~トドケ崎~音部)
[公園~川代]舗装道から林道で430mの峠を越える。距離13km
[川代~姉吉]舗装道で途中200mと100mの登り下り林道を含む。距離10km
[姉吉~トドケ崎]最初に登り100m後は平坦気味の遊歩道。4km
[トドケ崎~重茂]途中に100mの下り登り有るが平坦多い遊歩道。9km
[重茂~音部]舗装道区間で漁港から住宅地まで100m登り最後漁港に下る。4km
本日の総移動距離・標高差 距離40km、登り標高 1670m、下り標高 1670m

4日目(音部~月山~浄土ヶ浜~中ノ浜)
[音部~月山]舗装道を2km標高100m登った後林道・山道で456m山頂まで4km。
[月山~白浜]2km標高差400mの山道を下った後林間道を歩き白浜へ。距離5km
[白浜~浄土浜]ほぼ平坦な道歩きで一部堤防道路を進む(最後道間違い)。20km
[浄土浜~潮吹穴]大小累計約400mの登り下りを繰り返す遊歩道歩き。7km
[潮吹穴~中ノ浜]大小累計300mの登り下り遊歩道を歩き後最後は舗装道。4km
本日の総移動距離・標高差 距離41km、登り標高 1740m、下り標高 1740m

5日目(中ノ浜~道駅田老~摂待~茂師)
[中ノ浜~田老]100m級の登り下り5回の林道と舗装道歩きが半々。距離14km
[田老~青野滝]舗装道と林道と海沿歩きが交錯。100m級上り下り4回。11km
[青野滝~Gピア]鋪装道を歩き続けた後に迂回路へ(最後道間違い)。7km
[Gピア~摂待]舗装道歩き8割、林道2割。100m強の下り上り1回。6km
[摂待~茂師]150mの急山道を登った後は林道を歩き舗装道を下る。4km
本日の総移動距離・標高差 距離42km、登り標高 1840m、下り標高 1840m

6日目(茂師~鵜ノ巣断崖~田野畑~北山崎)
[茂師~小本]標高135mの熊の鼻展望台の登り下り舗装路と若干の林道。4km
[小本~鵜ノ巣]最初と途中の舗装路以外は登り下りの多い林間山道。距離13km
[鵜ノ巣~田野畑]最初と切牛の計2km余林道以外は鋪装道歩き。10km
[田野畑~机浜]舗装道を歩き続けた後に弁天崎で1km弱林道歩き。6km
[机浜~北山崎]9割は林道・遊歩道歩き。100mと150m級の上り下り各1回。6km
本日の総移動距離・標高差 距離40km、登り標高 1900m、下り標高 1720m

7日目(北山崎~黒崎~普代)
[北山崎~黒崎]出発後100m級の他数回下り登りあるが平坦多い遊歩道。10km
[黒崎~ネダリ浜]標高差150mを距離2kmの間に下る林間坂道。距離2km
[ネダリ浜~普代浜]最初は海岸沿いの岩場や洞穴歩き。その後は舗装道。4km
[普代浜~普代駅]平坦な舗装道歩き。2km
本日の総移動距離・標高差 距離18km、登り標高 520m、下り標高 690m

徒歩ルート
(ヤマレコでルート閲覧可能)

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コメント

  1. appleberry より:

    みちのく潮風トレイルハイキング、興味深く読ませていただきました。
    写真を見ながら、自分が通ったときに「あ、ここ、野宿できそう」と、マップにチェックした部分がかぶっていたりすると、なんだかとってもうれしくなりました。
    7日間という日程に、あまりの速さにびっくりしました。自分の地図をたどってみましたところ、13日かかっていました。倍の速さ!!すごい健脚にあらためておどろかされました。
    海のアルプスは、とてもきつかったことを覚えています。とにかく、上り下りの繰り返しに、膝がやられてしまったり、水の補給に失敗したりと。でも、それも、今となっては、よい思い出になっています。
    公式マップ等は、すべて購入しました。ハイクする時の情報を知ることはもちろんですが、みちのく潮風トレイルに関わってくださっている運営の皆様に、少しでもお役に立てればと思ったからです。トレイルの維持には、やはりお金がかかります。自分は、家庭のことや時間等でトレイルの維持に力をお貸しできる立場にありません。だからこそ、「利用させていただくだけ」ではなく、これからもトレイルがずっと続くよう、わずかな金額ですが、収入となってくれればと思ったからです。
    このサイトのように、情報発信をすることで、おおぜいの方に知らせるという方法もみちのく潮風トレイルにとっては、とても有意義であると考えます。ここまで細かな(野宿等の!)情報サイトを私は知りません。これからもたくさん利用させていただきたいと思います。長文失礼いたしました。

    • takenamik1 より:

      appleberry さん
      コメントありがとうございます。
      appleberryさんの文章から「みちのく潮風トレイル(略称MCT)」への愛情が良く伝わってきます。
      私もMCTの創設期から注目してきましたがappleberryさんとは逆に恩恵を受けた側です。
      2015年にコースの一部が開設された時には郵送料のみで開設5区間の地図を入手しました。
      更に2019年に全線開通した時には種差センターで全区間の地図を無料で入手できました。
      その数年後には地図の発行が停止され入手できなくなってしまいました。
      一応ネットでは地図情報が閲覧できるのでネット情報が主になったとばかり思っていました。
      つい最近になり冊子として情報提供されている事を初めて知り驚かされた次第です。
      割と高額ですがappleberryさんが寄付的な気持ちで購入されている事は凄いと思います。
      当方は金銭的な貢献は厳しいので情報発信で多少でも貢献できればの気持ちでいます。
      今回も歩いて感じたのですが林道の様な所をコース設定していると管理が大変です。
      普段余り人が通らないとアッという間にヤブが生い茂ります。
      仮に年1回刈り払いするだけでも大変ですがそれでもヤブは直ぐ茂ると思います。
      普段から遊歩道として利用が多いとか生活道路として人が通っていれば未だ良いのですが…
      MCTコースにはそうでない所も多くあるため今後の維持管理が心配されます。
      人間の身体と同じで日頃から手入れ等に気を付けられたら良いと思います。
      appleberryさんの不調は改善したでしょうか?
      当方も最近一寸した不注意?でお腹の不調を招いてしまいました。
      今はほぼ完治しましたが真夏に向け身体を労りつつお互い健康に生きましょう!

  2. との より:

    ご苦労様でした。私は、以前連絡した通り30日三本柳温泉泊まり(当初ゆだんの湯の予定でしたが、満員で急遽変更)、1日岩木山神社崇敬会に参加しました。A夫婦が温泉に参加しました。

    • takenamik1 より:

      との さん
      コメントありがとうございます。
      岩木山神社崇敬会の行事参加、お疲れ様でした。
      当初予定の温泉が満員で別の宿を手配したとの事、スリリングな対応だった様ですね。
      もしかすると私と似た様な事情が発生していたのかもしれないと思いました。
      私の方は6月25日に出発し電車で八戸乗継を計画していましたが出来ませんでした。
      大人の休日倶楽部の期間が6月22日~7月4日の期間だと全く知りませんでした。
      更にコロナの沈静化で観光客が一気に集中した様な状況に遭遇しました。
      それでも幸い当日の別列車に乗り2時間半遅れで目的地に着き旅を開始できました。
      今後は世の中の動向に更に注意する必要性を感じさせられました。