9月1日17時に道の駅よつくら港に到着し夕食調達後にねぐらを四倉海岸の浜に定めた。テント設営準備に取り掛かろうとした矢先に空からは小雨、遠くからは雷鳴。急遽道の駅の軒下を借りることにした。
19時過ぎに道の駅に移動した時には既に先客が。互いに軽く挨拶したが、後は各々スマホをいじり会話はなし。
その後私はテントで寝て、彼はイスで夜を明かした。
翌朝5時、私がテントから這い出ると彼が軽く会釈。私が彼に一晩中寝なかったのか尋ねると、少しだけ寝たと答えた。
夜中に巡回の警備員と宿泊許可の件でやり取りし、警備員からお咎めなしで上手く対応してた事を話すと、数日前似たような状況で警察官から職務質問され不審者と思われて荷物の中まで調べられ嫌な体験をしたため、兎に角不審者でない事を理解してもらうようスマホで上手く話を装い対応したのだと言う。成る程と感心させられた。
彼は鹿児島生まれ、東京で働く22歳の若者。青森から東京までの徒歩旅行中で12日目。後1週間で東京に着きたいらしい。青森から福島まで12日だと早いと言うと、ヒッチハイクも利用しているとのこと。
旅の目的を尋ねると、自分は人見知りだけれど人と話すのが好きで、色々な人と話をし経験を深めたい、ヒッチハイクも時間を稼ぐ意味もあるが人と知り合えることも大切とのこと。
仕事があってもよく長期休暇が取れたねと言うと、仕事については思うこともあるらしく、はっきりとは言わないが心に決めていることもある様子。
1時間以上色々な話しをした後私が持っていた食料と虫刺され防止薬を差し出すと始めは固辞していたが最後は貰ってくれた。旅行中に様々な恩を受けており有難く大切にしたいと語った。
彼より先に出発し、昼に勿来の関に立ち寄った。国道6号から約1kmの表示だったが標高差が約70m、結構な高さを登り、勿来の関の文学館のそばで息を切らして一休みしているとバイクライダーのおじさんが近寄って来た。私の旅の話を聞き自分の話もし最後に旅の無事を祈るエールを頂き、私はライダーおじさんとお別れして勿来の関趾に向った。関趾前でカメラを写していると先程のライダーおじさんがやって来た。何と私にアイスをご馳走するため買って持って来てくれたのだ。まるで朝に若者にあげた恩返しがもう返ってきたようなものだ。
若者の話した人の好意の貴重さを噛み締めながら有難くアイスを頂戴した。