生活習慣病診断や治療に関する疑問

以前ブログで栄養摂取では糖質:脂質:蛋白質は約1:1:1がお薦めと書いた。
この比率で食べると血糖値が正常に保たれ血管への悪影響が少ないらしい。
食べ物の流れと血液の関係はどうなっているのか。

【食べ物の流れと血液の関係の簡略説明】
①口から入った食べ物は唾液や胃液等の消化酵素で一次分解され小腸等に送られる。
②小腸では糖質はグルコース、蛋白質はアミノ酸、脂質は脂肪酸等に二次分解される。
③小腸の他に膵臓や肝臓にも栄養素が運ばれ化学変化により二次分解される。
④小腸等で変化した各栄養素が血管に取り込まれ血液の流れで身体全体に運ばれる。
⑤血液の中の血漿により運ばれた栄養素が毛細血管から染み出て細胞に取り込まれる。
※[参考]「看護roo」サイト(https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1881)
(素人の簡略説明なので重要部分の説明不適切があるかも)

この流れのバランスが悪いと糖尿病、脂質異常症、高血圧の生活習慣病になる。
【生活習慣病発症の仕組み~従来説~】
・過食で血液中の糖が過剰になりインスリンの糖処理機能が疲労し血糖値が高まる。
・脂肪の摂り過ぎで血液中の脂質が増え血管が傷み血栓が出来て脳卒中等を起こす。
・塩分の摂り過ぎ等で血圧が高まり血管が硬化して脳卒中や心臓病を引き起こす。
【各症状の治療法~従来の主流治療法~】
・糖尿病→摂取カロリーの抑制。運動療法。インスリン投与。
・脂質異常症→脂肪摂取量の抑制。運動療法。脂質抑制薬の投与。
・高血圧→塩分を控える。生活習慣改善。降圧薬の投与。

ところが発病のメカニズムと治療について異議を唱える医師が徐々に増えている。
【生活習慣病発症の仕組み~新説~】
①食物では糖分以外に配慮は不要(塩分と高血圧は無関係、カロリーと肥満血糖は無関係)
②食物では蛋白質摂取を重視(特に鶏卵は最良の蛋白源)
③脂質は必要栄養素で悪者ではない(コレストロール重要、飽和・不飽和脂肪酸の功罪)
④血液がこれらの栄養素を目的を持って身体中に運ぶ。
⑤昔の人々の食べ物は糖分が少なく蛋白質や脂質を中心に栄養を摂っていた。
⑥人の身体は過剰な糖への適応力が弱く脂質や蛋白質には高い適応力を持っている。
⑦血圧はストレスや年齢で高まるように身体自体の機能として備わっている。
⑧必要があって身体が反応している状況を投薬で無理に反応を抑えることは不自然。
(但し塩分やカロリーは悪者ではないが、幾ら摂っても良いという訳でもない)

【新説を唱えた本のリストの一部】
※塩分無関係説(「東西医学」32P石原結実著H19.12講談社+α新書、
 「医学常識はウソだらけ」34P三石巌著H21.7.祥伝社黄金文庫)
※カロリー無関係説(「炭水化物が人類を滅ぼす」156P夏井睦著H25.10光文社新書、
 「インスリン注射も食事制限もいらない糖尿病最新療法」100P岡本卓著H21角川SSC新書)
※糖質が肥満・高血糖の原因(「ケトン体が人類を救う」141P宗田哲男著H27光文社新書、
 「糖尿病はご飯よりステーキを食べなさい」84P牧田善二著H22.2講談社+α新書)
※鶏卵は最良の蛋白源(「卵を食べれば全部よくなる」佐藤智春著H26.12マガジンハウス、
 「医学常識はウソだらけ」135P)
※高コレステロールの人が健康(「9割の病気は自分で治せる」71P岡本裕著H21.1中経の文庫、
 「健康常識はウソだらけ」60P奥村康著H24.4WAC文庫)
※飽和・不飽和脂肪酸の誤解(「医学常識はウソだらけ」196P)
※高血圧180は服薬不要(「命を脅かす医学常識」70P浜六郎著H24.2宝島文庫、
 「高血圧はほっとくのが一番」松本光正著H26.4講談社+α新書)
【主な著者紹介】
三石巌:物理学者。分子栄養学創設。三石理論研究所設立。95歳でH9死去。
奥村康:免疫学者。日本免疫学会会長。高松宮賞、日本医師会医学賞等多数受賞歴。75歳
夏井睦:医師。形成外科専門。新湿潤療法の創始者。59歳

医学界の基準に異を唱える新説は売名行為という批判もある。
しかし各々の執筆者は実体験を元に論理的に考察し健康を希求していると感じる。

3つの生活習慣病の共通点は一旦薬物治療に入ると生涯続くこと。
基準値一つで病気判断の境目が変わることで膨大な患者数の増減が発生する。
生活習慣病の推定人数は糖尿病890万人、高血圧3970万人、脂質異常4220万人。
(日本生活習慣病予防協会サイトよりhttp://www.seikatsusyukanbyo.com/main/yobou/01.php)
患者の増減はそのまま病院経営や製薬業界の盛衰に直結するため学会は従来説に固執。
これらの問題点を指摘した週刊誌の記事サイトの紹介。
週刊現代H27.7.25コレステロール基準値の嘘・第一部(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43441)
週刊現代H27.7.26コレステロール基準値の嘘・第二部(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43443)
週刊現代H27.7.27コレステロール基準値の嘘・第三部(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43444)
週刊現代H26.5.20「血圧・血糖値・コレステロールの正常と異常の分岐点」
 第一部(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39291)
 第二部(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39292)

各々の生活習慣病に関しては基準値一つで膨大な患者が増減することが共通点。
一方で基準値自体の正当性に関しては生活習慣病毎に差が生じている。
糖尿病に関しては血糖値が上昇すれば病気の可能性が高まり基準値は概ね妥当らしい。
但し糖尿病治療の基本的考え方(糖質制限かカロリー制限か)で問題視されている。
一方で脂質異常と高血圧に関しては基準値の設定自体が問題視されている。
脂質異常に関してはコレステロールが高い方が健康という従来と正反対の見解がある。
高血圧に関しては血圧が高いことが即病気に繋がることはないとの見解がある。

高血圧に関する各学者の意見をまとめて要約すると、
高齢になると血管は緩やかに動脈硬化が進む。
動脈硬化で身体末端への栄養供給力が弱まるため血圧を上げ栄養供給を維持している。
血圧を薬で無理やり下げると栄養供給力が衰え脳機能や筋力等に悪影響が出る。
一方で高血圧は脳卒中(脳出血)の心配があることは確かである。
昔は栄養状態が悪く血管が弱いため脳出血が多かったが今は栄養改善で脳出血は減った。
高血圧学会は脳卒中(脳出血+脳梗塞)による死亡率減少に降圧剤が寄与と説明。
一方で脳出血死亡率が激減しつつ脳梗塞死亡率がほぼ横ばいの経緯について説明は不明。
新説では戦後食糧難期から高度成長期に栄養改善し脳出血は減少したが栄養バランスの善し悪しで脳梗塞数は横ばい状態と解説している。
よって高血圧による死亡確率は少なく薬の副作用の悪影響が大きいので治療は慎重に。
脳血管疾患の死亡率の推移

【参考】日本成人病予防協会サイト・死亡数推移(http://www.japa.org/?page_id=6310)
 高血圧学会・高血圧治療ガイドライン2014
 (https://www.jpnsh.jp/data/jsh2014/jsh2014v1_1.pdf)

統計数値の見方は気をつける必要がある。
もし降圧剤が身体に良いならば脳梗塞死亡率ももっと減少してもいいのではないか?
データを恣意的に解釈したり改ざんしたりしても実態が分からない場合がある。
データ自体が改ざんされた「ディオバン事件」は医学界の信頼を揺るがした。
東洋経済H26.1.16高血圧学会の頬被り(http://toyokeizai.net/articles/-/28343)

健康は様々な要因が複合しているものだと思う。
・食事 ・運動 ・遺伝 ・心理(笑い・ストレス) ・外部要因(環境、気象、病原菌)
これら要因が一つ欠けても健康が成り立たない場合もあれば、気持ちの持ちようだけで健康維持できる場合もあるかもしれない。
願わくば医療が一人一人個々の状況をしっかり観察して診断し治療してほしい。
脂肪や血圧の値が基準を超えたから即治療と言うだけなら医者は不要。
個人的には従来説に固執する学会よりも新説を説く少数医師に共感する部分は多い。
ただし人間の身体の仕組みは未解明なことが多く今後も続々と新見解が出るだろう。
「9割の病気は自分で治せる」という本のとおり医者任せでなく自己管理が大切。
糖尿病予備軍の私も、自分の身体と相談しつつ食事と生活に気をつけたい。
そのうち時々は自分の身体での実験成果を報告する時があるかもしれない。

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