「我慢の限界」に対応するには(その2)

トランプ大統領の「入国禁止令」の正当性主張を連邦高裁が却下した。イスラム過激派のテロからアメリカ国民を守ろうとする目的は正しい。
イスラム過激派のテロからアメリカ国民を守ろうとする目的は正しい。
しかしテロに無関与のイスラム圏7か国からの入国禁止は過剰?防衛。
まるでブッシュ大統領が9.11でテロと直接関係ないイラクを攻撃したのと類似?
対策が間違っていては目的を達成することはできない。
誰が味方で誰が敵かを色メガネで見分けてはならない。

私たちの身体の中で外敵から身を守ろうとする代表的反応が免疫反応。
外から身体に入る物が有益な食物なら通過できるが有害物なら免疫細胞が攻撃する。
興味深いことは免疫細胞が有益か有害かをどうやって見分けているのか?
トランプ大統領の命じたイスラム圏7か国からの入国禁止令は今回は否定された。
しかし今回の件が反感を招き将来イスラム諸国が米国を敵と見なすかもしれない?

身体の中も同様に、過去には有益な食物でも将来有害となる場合がある。
ということで食物アレルギーの話の続き。
前回ブログで突然アレルギーが発症する仕組みをバケツから溢れる例で説明。
人間は各人毎に異なる大きさや種類のバケツを持っている。
だから小麦用バケツが小さいと少量でも小麦アレルギーが発症したりする。
即時型の場合はIgE抗体、遅延型の場合はIgG抗体ができることが問題になる。
本来抗体は白血球等が異物を排除するための目印の役割をする。
しかし食べ慣れない物の摂取、健康を意識した義務的な摂取、過食等により身体の許容限度を超えた摂取等でアレルギーを誘発するらしい。
【参考】「隠れフードアレルギー」上符正志著IDP新書2015年刊
臨床検査技師が運営する健康・医療情報ブログ(http://kenko-arekore.com/archives/293.html)

アレルギーには、食物アレルギーの他に花粉アレルギーもある。
NHK「シリーズ医療革命~新アレルギー治療」(H29.1.2.再放送)
番組で花粉症の要因と対策が紹介された。
米国アーミッシュの人々は日常的に牛の飼育をすることで身体が花粉症になり難い。
牛の身体や糞内にある様々な細菌を体内に取り込むことでTレグ細胞が発達する。
Tレグが発達すると花粉等の異物への免疫反応が抑制され、花粉症にならずにすむ。
因みに花粉症の都会人が田舎に移り住み家畜の世話を数年すると花粉症が治る。
細菌の排除を進めてきた人間社会が花粉症を作り出す原因だったのだ。
【参考】シリーズ医療革命のネット情報がないため類似のネット情報を参考掲載。
 ネタの森(http://soukai213.com/allergy-nhk)

前述の新書「隠れフードアレルギー」では食物アレルギーと花粉アレルギーが連動している場合もあることが紹介されている。
本来は異なる種類のアレルギーだが、食物アレルギーで身体がアレルギーになり易い体質になっていると花粉アレルギーにもなり易くなる。
アレルギー原因を取り除いた除去食で食物アレルギー体質を改善していくと花粉症も改善する例があるそうだ。

花粉アレルギーの改善に細菌が重要な役割をすると書いたが、細菌は更に価値がある。
NHK「シリーズ医療革命~腸内フローラ」(H29.1.2.再放送)
腸内フローラとは腸内細菌群のことで、ガン、糖尿病、肥満や美容にも効果がある。
米国ではディフィシル感染症が深刻化して年間1万人以上が死亡しているそうだ。
そして最新の治療法として便微生物移植という治療法が紹介されていた。
健康な人の便を水に溶かし大腸内視鏡を使って患者の腸内に移植する治療法!
健康な人の糞の中の沢山の種類の良質な腸内細菌を活用する事例。
【参考】前述と同様、ネタの森(http://soukai213.com/hunben-transplant)

腸内の菌というとO157等の病原性大腸菌が有名で悪者のイメージが強いが、大腸菌は無害な菌が多数を占め、有益な腸内細菌が沢山ある。
人間には大腸のほか身体の表面にも多くの有益細菌が住み着き人体を守っている。
現代社会は清潔を追及し細菌は汚いものとして排除しようとする。
その排除が「限界」を越えた時、人間は発病したり、不調に陥る。

人間の身体は細菌の多様性により守られ、細菌が減少すると人間の身体も弱る。
食事も偏るとアレルギーになり易く、種類を増やすことで多様な栄養を取り込める。
米国は多くの移民を受け入れて多様性を武器に発展してきた国。
イスラム諸国からも沢山の優秀な人材が入り米国という国を支えている。
国家にしても、人間の身体にしても、多様性が大切ということだろうか。

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