疲労と食事と水分補給

「すべての疲労は脳が原因」(梶本修身著、H28集英社新書刊)に以下の記述がある。
「疲労」とは医学的には「痛み」「発熱」と並び人間の生体アラームの一つと考えられる。
つまり「これ以上運動や仕事の作業を続けると体に害が及びますよ」という警報。
(同書の18~19頁)
楽しく仕事をしている時ほど「疲労感なき疲労」が蓄積されやすい。
休まずに仕事を続けることで疲労は脳と体を確実に蝕み、果てには過労死に至らしめる。
「ランナーズ・ハイ」とは長距離走である限界を超えると辛さが消え高揚感に変わる現象。
この時に脳内ではエンドルフィンやカンナビノイドといった物質が分泌される。
これらの物質は疲労感や痛みを消すため防御的に分泌され多幸感や快感に似た感覚を覚醒。
疲労感がマスキングされたまま運動を続けると脳や心臓などに疲労が蓄積し非常に危険。
(同書の26~27頁)(一部、要約)

「疲労」と「痛み」は、4年前に旅行を始めてから相当身近に感じる問題。
「疲労」については、一日の旅の終盤かけて徐々に増すが就寝すれば翌日には相当回復。
但し疲労感に支配され目的地への到達断念を真剣に意識したこともある。
(H28北アルプス裏~表銀座縦走最終日餓鬼岳手前やH29東北山歩旅行14日目祝瓶山手前)
「痛み」については、みちのく潮風トレイル、四国遍路、東北山歩旅行で悩まされ続けた。
足裏や足先の痛みが大半を占めるが、腰痛や大腿部などにも発生したりした。
「痛み」の話は別の機会に譲り今回は「疲労」と食事と水分補給に関して考察したい。

4年前の自転車旅行からスタートした様々な旅行中、「疲労」は当たり前に感じていた。
1日のうちでは午前より午後の方が疲労が大きい。
低気温日より高気温日の方が発汗で疲労感が大きいし、雨天より晴天の方が疲労し易い。
それでも夜熟睡すれば翌日はほぼ回復するし、熟睡度が低いと翌日も多少疲れが残る。
全てが当然と思い深く考えもしなかった。
しかし昨年から今年にかけ極限疲労を体験し命に関わると思い始め体験を整理し始めた。

50歳を過ぎた頃から仕事中でも疲労感や眠気を感じることが多くなり出した。
30代や40代は疲労感はあっても回復が早かった。
それが50歳を境に疲労感が増えて回復も遅く更に眠気が加わる。
その頃「50歳からは炭水化物をやめなさい」(藤田紘一郎著、H24大和書房刊)に出会う。
「身体の主エンジンは40歳までは糖質だが50歳以降はミトコンドリアに切り替わる」
「40までは炭水化物が主エネルギーだが50からは体温と酸素が主エネルギーになる」
50歳を境に体質変化を意識し出し深い呼吸が増えた実感も重なり本の記述に共感した。
しかし食生活については野菜の摂取を増やすぐらいで極端に変えなかった。

55歳の早期退職後に始めた「五十路日本ひとり旅」ではどちらかと言えば大食旅行。
テント泊時は食事量に制限があるが、宿に泊まる時は大抵バイキング食を腹一杯食べる。
だが一昨年から徐々にテント泊が増えると共に質素な食事量の機会が増える。
春から秋にかけては旅行中心で、11月~4月の半年は自宅で普通の食事で過ごす。
そこで感じたのは旅行で体力を使う時の方が質素食、自宅で運動減少時の方が食事増量。
本来は運動量が多い時に食事量も多く、運動量が少ない時は食事量も少なくするべき?

また旅行で質素食の時は疲労感はあっても(各種の痛み以外の)体調面は非常に良好。
一方で冬場に自宅にいる時の方が眠気や「腰痛」「めまい」等の不調が発生している。
(「腰痛」については後日補足して書く予定)
そして、疲労や食事を意識した登山を今年10月に実施してみた。

結論から言うと自分の感覚では「食事不足に伴う疲労感」はほとんどないように思う。
北アルプス裏表銀座縦走や東北山歩旅行時の危機は「暑さと水不足」が疲労の主原因。
暑さの影響がなかった10月の4回計6日の登山では疲労感は余り感じなかった。
そして2回は朝食と昼食を摂らず歩いても強い空腹感と疲労感は感じずに登山できた。
また暑さがなかったため水分補給も少なくて済み水不足による疲労感も感じなかった。

以上のことはあくまで個人的な感想のレベル。
食料の節約と体力持続の関係や水分補給を減らした時の悪影響のない限界など謎が多い。
めまいと水不足の関係についてはH28.10.16ブログで苦しんだ経験を書いた。
また水不足で登山途中に挫折しそうになった苦しい思い出もある。
このため水不足は私の中で多少トラウマ的な印象があり水を制限するのは少し怖い。
一方でめまいのブログでは食事の量と水分摂取の量の関係を疑っていることも記述。

話が少し拡散するが、私は年齢と共に「夜中にオシッコに起きる」回数が増えている。
50歳を超えた頃から少しずつ増え出して現在はほぼ毎日夜中1度はオシッコに起きる。
また私は昔から「動くと胃がポチャポチャ鳴る」傾向がある。
また私は体温が36℃より少し上ぐらいで若干低体温の傾向がある。
「水分の摂りすぎはこんなに恐い」(石原結實著、H20健康人新書刊)の水分過多体質に該当。

先週金曜(10月27日)の岩木山登山後から少し水分を控え気味の生活に再挑戦している。
「めまい」の再発が怖いため少しでも体調異常があれば直ぐに中止予定。
これに合わせて食事の量も以前の8割程度に減らしている。
その結果、金曜から昨日まで4日間、夜中のトイレには1度も起きていない。
多分ここ2年間ぐらいでの最長記録。体温も36.5℃ぐらいで0.3℃前後上昇。
あくまで個人的実験でそれも短期間のデータ。他の人に単純に当てはまると言えない。
しかし石原結實が著書で述べるとおり世の中は「健康のため飲水」を勧め過ぎの様に思う。
「皆一律同じ」ではなく個々人が身体と会話し体質に合う生活に努めることが大切と思う。

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