紙一重に関する雑感

1 朝ドラ「らんまん」と酒
今朝(8月3日)の朝ドラは酒蔵の酒造り事件の話。
酒造りでは発酵が酒の出来不出来の命運を握る。
発酵が思い通りに行かないと腐造の可能性がある。
発酵も腐造も菌が関係する現象で紙一重。
朝ドラでは新しい酒造りに挑み順調に進んでいた。
しかし最終段階で酒が火落ちして腐造が起きた。
私は腐造という言葉は知っていたが火落ちは初見聞。
酒に火落菌(乳酸菌の一種)が繁殖する事だそうだ。

2 腸内細菌の話
酒と同様に人間の身体も様々な菌が関係する。
身体中に菌は居て皮膚や口や腸は菌の溜まり場。
特に腸内細菌は健康と深く関連し度々話題になる。
腸内細菌には善玉菌、日和見菌、悪玉菌がある。
この内の日和見菌は通常は良くも悪くもない。
だが場合によっては日和見は悪玉に感化される。

「免疫力は腸で決まる!」(辨野義己著、2015年角川新書)要点
・通常腸内は善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%の構成
・日和見菌は不思議で善でも悪でもない立ち位置
・日和見菌がどんな働きをするかほとんど不明
・ただ悪玉が増殖すると日和見も悪さするらしい
細菌の世界も紙一重で絶えず変化が起こるらしい。

3 寿命と有害物質の奥深い関係
以前「寿命ハック」という本の話をした。
適度に血を抜く事は健康に良いという話を紹介した。
血液(献血)と健康について(2023年1月18日記事)

私は自分の献血の事を幾度も記事にした。 献血は血液を必要とする他人に役立つ。 そして自分の健康状態の把握にも役立つ。 献血後には多少疲労感があり活力が減退する。 でも一晩寝た翌日には疲労感は8...
要点は血液中の鉄分過剰は寿命を縮めるとの事。
一方で鉄分不足も貧血などの悪影響に繋がる。
人間の身体は出血以外で鉄を失う機会が少ない。
高齢化するほど鉄過剰傾向になり寿命短縮し易い。
血液と鉄の過不足も健康に関して紙一重の話。

この本には他にも興味深い話が沢山ある。
本に記されたエピソードを2~3例紹介する。
・生物にとって酸化は細胞を傷つける
 抗酸化成分を摂取すれば細胞劣化を予防する
 一方抗酸化サプリ摂取は寿命短縮すると判明
・ヒ素は生物にとって有害な物資と言われる
 線虫のヒ素実験で大量摂取は死、少量摂取は長命
・台湾のマンションに誤って放射性物質が混入
 マンション住民は基準超過放射能下で長期生活。
 後日の住民健康調査で住民ガン発症率は平均以下
酸化、ヒ素、放射能等の有害物質は微量なら逆に有効

本の著者N・ブレンボーは有害物質擁護派ではない。
量により良い影響と悪い影響に分かれる事を指摘。
そしてその分岐点は紙一重で単純に決められない。

4 適度なストレスと健康
ストレスが生物を強くする現象を「ホルミシス」と呼ぶ。
例えば運動は本来的に筋肉を徐々に傷つける行為。
しかし運動すれば身体が丈夫になる事は周知の事。
一方で運動をし過ぎた場合はケガや突然死も招く。
つまり許容量以内は健康増進で超過は健康悪化する。

例えばラジウム温泉、ラドン温泉と放射能の関係。
所謂放射能泉と呼ばれる温泉は昔から健康目的利用。
温泉は健康に悪影響のない微量放射線が放出される。
つまり放射線は種類の他に量も健康に深く関わる。
量が少ないなら健康に良く量が多いと健康に悪影響。

5 飲み水と細菌
みちのく潮風トレイル旅では沢水飲水の事を記した。
沢水飲水で腹を壊す可能性は場所や人で異なる。
腹を壊しやすい場所や腹を壊しやすい人がいる。
例えばインドでは菌の多い川の水を皆飲水する。
日本人が飲水すれば即腹を壊すがインド人は平気。
私は日本人とインド人の腸内細菌の差が要因と推測。
(ネットを調べても真相は不明)
日本の沢水も同様に各人の腸内細菌で差があると思う。
腸内の細菌は互いに干渉し合いながら生存している。

6 再び酒と菌の考察
さて最後に冒頭のらんまんの酒の話に戻る。
酒の製造にも菌が重要な役割を果たしている。
酒蔵では納豆菌は厳禁と言われている。
杜氏や蔵人は酒仕込み期間は納豆を絶対食べない。
納豆菌は他の菌に比べ簡単には死なない菌らしい。
逆に言えば納豆以外の菌は熱などで殺菌できる。
酒造りの過程では様々な菌と長期間取り組む。
酒造りの最後の行程で滅菌する作業が「火入れ」
その前に悪い菌(乳酸菌)が繁殖すると「火落ち」
新しい酒造りは過去の手順を変えるため困難を伴う。
その中で悪い菌の繁殖を防ぐ事は紙一重の作業。

酒造りの事は知らないが腸内と似ていると思った。
酒造りは酒蔵に昔から住み着く菌を利用する。
昔から住む菌には腸内と同様に良い菌と悪い菌がある。
酒造りは温度調節で悪い菌を抑え良い菌を増やす。
一般的には低温下で良い菌、高温下で悪い菌が増える。
新酒造りでは試行錯誤する過程で温度環境等を変える。
その時の一寸した加減が悪い菌の増殖を招く事もある。
酒蔵も腸内も善玉、悪玉、日和見の微妙バランスが重要。
紙一重の微妙バランスが崩れると異変発生に繋がる。

※補記 火落ち酒を飲んでも酸味があるだけで無害

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