お金に関する私見 [後編]

1 格差社会
トランプ前大統領が銃撃された。
銃弾は耳に命中したが命を奪う事は無かった。
ただ前大統領を狙った銃弾は聴衆の命を奪った。
トランプ前大統領には熱狂的な支持者が多い。
一方で強く嫌悪する反トランプ立場の人も多い。
この2極対立を生む最大要因がお金と格差問題。
トランプは中国や日本は不公平貿易だと非難する。
トランプは自国の格差拡大要因の移民排斥を主張。

貿易や移民や様々な場面で不公平は発生する。
貿易で輸入拡大すれば自国の国内商品には打撃。
移民が低賃金で就職すれば自国民は職を失う。
自分が不当な境遇だと考える人はトランプに共感。
トランプは米国ファースト・米国第一主義者。
米国が損をしていると見做す物を全て敵視する。

資本主義社会が肥大化し格差は拡大し続ける。
世界中で富裕層と貧困層の2極化が益々拡大中。
日々のニュースには何時も格差の影が付き纏う。
露、中、北朝、インド、イラン、パレスチナ。
全てのニュースの根底には多数の貧困層がいる。
権力者の最大関心は自己保身で貧困政策は後回し。
貧困層の人達は自分の命を守る事さえ難しい。

2 お金と格差の相関関係
何故格差が生まれ格差が拡大し続けるのか?
格差とはお金を保有する量の多寡で決まる。
お金以外にも不動産等財産保有の多寡も関係する。
だが財産も元を辿ればお金を原資に所有が決まる。
お金と格差は切っても切れない関係にある。

前回のお金に関する私見で「お金は幻想」と考えた。
お金には3つの役割がある。
・価値尺度 (全ての物に値が付けられる)
・決済手段 (全ての取引はお金を介する)
・価値保存 (お金を貯めて蓄財できる)
人はその役割を信じて行動時の判断指標にする。
ただ基本となる価値尺度は絶対不変指標ではない。
多数が信じる限り安全でも信頼が揺るげば即崩壊。
その意味では集団による幻想的指標と言える。

更に近代化後は物激増と価値乱高下が繰り返される。
取引物が増えて物別の価格変動に格差が生まれ出す。
多数ある食料・日用品類は比較的価格変動が少ない。
稀少性のある不動産・貴金属等は高騰し易くなる。
結果的に大量物と稀少物との間に巨大な差が生じる。
以上の私見[前編]を元に[後編]はお金と格差を考察。
お金が誕生し増大した事による巨大格差の実態を見る。

3 格差の蔓延する世界
(1) 世界全体の格差
トマピケティは2014年に「21世紀の資本」を発表した。
ピケティは同書で「資本主義は格差を拡大する」と指摘。
2021年世界不平等レポート中の資料は格差の実体を示す。
世界の少数の富裕者が世界の富の多くを占有する。
階層 人数(人口比) 所得割合 資産割合
超富裕 5千万( 1%)  19%  38%
富裕層 5億人(10%)  52%  76%
中間層 20億人(40%)  39%  22%
貧困層 25億人(50%)  08%  02%
(富裕層数値には超富裕層数値を含む)
※参考:「世界の上位10%が76%の富所有」
 世界不平等レポート内容を長周新聞掲載 2021/12/20

 『21世紀の資本』の著者として知られるトマ・ピケティをはじめ欧米諸国の経済学者らで構成し、本部をパリに置く世界不平等研究所(World Inequality Lab)が7日、世界的な格差の実態を調査した「世界不平等レポート(WORLD INEQUALITY REPORT 2022)」を公表した。新型コロナウイルスの世...

(2) 中国の格差事例
中国のGDPは日本を抜きアメリカに次ぐ世界第二位。
だが国内の実体は超富裕層と超貧困層の二極化。
総人口の僅か0.3%の超富裕層が総資産の7割弱所有。
中国の富裕層・貧困層別の資産の比較
階層  人数 (人口比) 総額(総額比) 一人当資産(円換算)
富裕層 460万人(0.3%) 290兆元(67.4%) 6304万元(129000万円)
中間層 9900万人(7%) 110兆元(25.6%) 111万元( 2265万円)
貧困層 13億人 (93%) 30兆元( 6.9%)  2万元(  47万円)
※参考事:中国国際金融「中国財冨報告」2023年10月公表
「中国大恐慌時代が始まった!」石平著 R6.4 ビジネス社より

(3) 日本の格差の推移
世界や中国と同様に日本国内も階層間の格差は大きい。
2005年~2021年の階層別の資産推移の推計データがある。
富裕層ほど資産増加率の大きい状況を数値が示している。
階層  世帯(5年→21年) 資産(5年→21年) 増加率/世帯
超富裕   5万→  9万   46兆→ 105兆  32%
富裕層 1060万→1190万  595兆→ 849兆  27%
大衆層 3800万→4200万  512兆→ 678兆  20%
※参考記事:野村総研研究資料
「日本の各層別の資産規模と世帯数の推移」

野村総合研究所(NRI)の公式ホームページです。NRIからの提言や調査・レポート、商品サービス、ITソリューション事例、IR情報、採用情報、CSR情報などを掲載しています。

以上の3種類データが示す実態を改めて要約する。
世界全体格差では極一部の富裕層の富の独占が分かる。
特に所得差以上に資産面の差の拡大傾向が分かる。
中国は世界全体の傾向以上の超々格差の実体が分かる。
世界傾向以上に極少数が全資産の半数以上を独占する。
日本では世界全体の傾向に比べて格差の乖離度は低い。
それでも格差が年々拡大している事が推移資料から見れる。

なお日本の格差データについて少し補足する、
2007→2009年にかけて大衆層以外は資産が減少した。
2009年はリーマンショックで富裕層ほど打撃を受けた。
2017→2019年にかけては下位層ほど資産が減少した。
2019年は消費税が8%から10%に引き上げられた。
金融危機では富豪が大損し大衆増税は貧者が多損。

4 身近にある様々な格差
日本国憲法は「法の下の平等」を謳っている。
人々は表面的には「格差の無い平等な社会」を望む。
だが現実には格差がある事を当然視する社会がある。
例えば「大谷翔平のドジャーズ移籍契約」の巨額契約。
日本円に換算すると10年契約総額が1000億円超え。
メジャーリーグ史上最高額の契約に日本中が大興奮。
日本選手が米国でNo.1になる事を日本人多数が賞賛。
でも人間同士に巨大格差を付ける事が嬉しい事なの?
そんな観点で身近な社会にある格差を俯瞰する。

(1) 宝くじと格差
宝くじは現在は1枚300円で誰でも購入できる。
そして宝くじ抽選結果は1等~7等、ハズレに分かれる。
つまり当選した人、損得無し、ハズレの人の3パターン。
宝くじの資金は皆が宝くじ購入で拠出したお金。
お金を拠出した時点では人々は皆平等に夢を持つ。
だが抽選後の分配は一等からハズレまで超巨大格差。
宝くじは国民が格差容認の上で格差創出する賭博場。
宝くじが最初に発行されたのは昭和22年。
その時は1枚が50円で1等当選賞金は100万円。
そして現在は1枚が300円で年末1等当選賞金は7億円。
当初の最大配当2万倍(100万/50)が233万倍(7億/300)。
約75年で配当(分配)格差は100倍以上に拡大した。
宝くじの格差の仕組みを簡易分析する。
300円のうち約半分の150円は宝くじ胴元の運営資金
1等7億円の当選確率は2千万分の1で1枚当り35円分が充当。
以下1等前後賞・組違賞、2等、3等………
6等(3000円)の当たる確率は1/100なので30円が充当。
7等(300円)の当たる確率は1/10なので30円が充当。
1等も6~7等も宝くじ1枚当り充当額はほぼ同じ。
ただ当選者数が1等は2千万人に1人で7等は10人に1人。
同じ金額を1人で独占するか多人数少額分配かの違い。
立川志の輔落語のマクラ「ロトの分配」に通じる。

(2) 親会社と下請け会社の格差
日産自動車の下請け搾取が表面化した。
日産は自社の利益優先のため下請け金額を不当減額。
一端契約した額を支払い段階で不当に値下げ強要。
弱い立場の下請け業者は日産に逆らえなかった。
※参考記事:読売新聞オンライン 2024/3/4
日産が下請けに減額を強要、公取委が勧告

【読売新聞】 自動車部品を製造する下請け業者への納入代金を一方的に引き下げたとして、公正取引委員会が近く、日産自動車(横浜市)に対して下請法違反(減額の禁止)を認定し、再発防止などを求める勧告を行う方針を固めたことがわかった。違法な
トヨタも下請けに不当な製品管理負担を負わせた。
強者が弱者に対して不当な要求を行う事。
これは明らかに親会社の負担を下請けに転嫁する事。
つまり親会社は下請けの儲けを搾取し親の利益に転換。
※参考記事:読売新聞オンライン 2024/6/30
トヨタ系が下請け50社に金型無償保管を強要
【読売新聞】 自動車部品の大量生産に必要な金型を下請け業者に無償で長期間保管させたなどとして、公正取引委員会が近く、トヨタ自動車系列の車体製造会社の下請法違反(利益提供要請の禁止など)を認定し、再発防止を求める勧告を行う方針を固めた

(3) 個人事業主や派遣の問題
大手運送業者は配送の一部を個人事業主に下請けする。
個人事業主は安価な料金で大手の運搬物を請け負う。
大手は自社利益を確保し個人業者を都合良く利用する。
大手住宅メーカーは受注した住宅建築を下請けに回す。
最終的に下請けを担う人は一人親方と言われる大工。
ここでも大手は利益を確保し大工を低額で利用する。
運送や住宅以外にも個人を都合良く使う事例は多い。
スーパーでは商品販促で従業員以外の販売員利用。
会社では正社員と派遣社員が同じ仕事で待遇に格差。
それぞれに様々な事情はあるが結局は経費節減が目的。
総人件費節減のため個人や委託や派遣で経費削減。
どれも強者側が優位な立場で自己利益の確保を優先。
強者の利益優先が続く限り弱者の安価労働も続く。

(4) 社内の人件費分配格差
現在日本一の大金持ちはユニクロ創業者の柳井正。
柳井正の資産総額は5兆円。
2023年版「日本長者番付」発表(ITmediaビジネス)
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2306/01/news038.html
ユニクロの成功は顧客ニーズ把握と低価格高品質。
ユニクロ製品の低価格は製造や販売コストの削減。
製造は中国ウイグルの低賃金労働などで捻出。
販売は販売員のサービス労働などで捻出。
労働者を低賃金で働かせて自らは日本一の大富豪。
約10年前に柳井会長は以下の発言をした。
(私的独断で発言を要約)
・将来は年収1億円か100万円に分かれて中間層が減る
・仕事で付加価値を付けないと低賃金途上国に負ける
・年収100万円の方になっていくのは仕方がない
要は優良社員の高給化と平社員の安給化の二極化容認。
※[参考]ユニクロ衝撃の世界同一賃金~J-castニュース
柳井社長の年収4億円から最下位層は平均320万円

カジュアル衣料大手の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、海外で採用した社員も国内と同じ基準で評価し、成果が同じなら賃金も同じ水準にする「世界同一賃金」を導入する考えを明らかにした。日本人社員と新興国や欧米の社員の働きぶりを、「同じ土俵」で評価することで賃金水準が全世界で均一化していくことが...

(5) 私の身の周りの格差
私が時々買い物に利用するストアが最近閉店した。
売上げ減少と店員確保の困難が原因と推測される。
また私が数年前まで通った歯科医院も閉院した。
ストアも歯科医院も様々な要因があったと思う。
共通要因と推測するのは近年の物価高と人件費高騰。
物価高で人々は様々な部分の生活費節約に努める。
そのためストアや病院は稼ぎが減少していると思う。
更に人材不足と人件費高騰で人材の争奪戦も起こる。
あるスーパーでは人手不足を詫びる貼り紙があった。
結果的に弱者は脱落し強者が生き残る社会になる。

私はメルカリやヤフオクで中古品売買を利用する。
安い品は直ぐに売れてしまうため安く買うのは大変。
また自分の出品は高く売りたいが簡単には売れない。
延べ10年ほど利用しているが年々売買競争は激化。

商店の売買も自分のネット取引も原則平等で格差無。
大手(強者)も中小(弱者)も様々工夫して売買する。
ただ大手ほど様々な対策は採り易いだろう。
一番手っ取り早い方策は人件費カット。
弱者を犠牲にして強者が生き延びる方策。
中小会社になるほど人件費カットは難しい。

中古品売買のメルカリ等も弱肉強食はあり得る。
例えばお金に余裕があれば安価販売の必要はない。
余裕が無く早く売りたければ安く売る事になる。
弱者ほど過当競争に巻き込まれ消耗させられる。
資本主義社会とは、換言すれば弱肉強食社会。
弱者が強者に勝つ事は容易ではなく格差解消困難。

5 格差が生まれる理由
世界中で流通するお金には共通する法則がある。
お金は「集約と分配」が繰り返されている。
「宝くじ」はくじ購入者のお金を集約し当選毎に分配。
「会社の売上」は販売で得た儲けを株主や社員に分配。
「国」は国民から税金を徴収し各種事業で国民に還元。
「世界」は低賃金国の労働力を活用し富裕国を下支え。
全ては誰かの負担や損が誰かの優遇や利益を支える。

集約した一定のお金をどう分配するか?
大昔は集団生活の規模が小さかった。
小さい集団内では極端な不公平は起こり難い。
小さい集団内の不公平は直ぐに仲間の反感を買う。
所が今は大きい集団で様々分担分けし作業を行う。
集団が大き過ぎると集団内の他人の情報は知り難い。
他の事情が分からなければ不公平なのか分からない。

[前編]ではお金と物の増加が格差拡大要因と述べた。
お金と物の拡大が続くと格差も拡大を続ける。
だが異常事態が発生するとその状況は一変する。
最も端的な例は戦争。
第二次世界大戦では世界中の経済秩序が一変。
戦争遂行が第一優先の経済。
戦争に敗北した日本では戦前の貴族は廃止された。

「比較経済史にみる日本の格差」の掲載グラフ抜粋
~一橋大学経済研究所・森口千晶

そして近年では世界的な異常事態が3つ発生した。
リーマンショック、コロナ、ロシア侵略・貿易混乱。
経済混乱時の格差の変化を示すグラフを紹介する。

米国貧富格差拡大グラフ

米国所得年次推移グラフ

米国所得シェア年次推移グラフ

日本所得年次推移グラフ

日本所得シェア年次推移グラフ

これらのグラフから見えてくる事を箇条書きする。
・大きな戦争では資産価値が崩壊し貧富差は解消。
・経済混乱時は価値変動が起こり貧富差も変動。
・ただ経済混乱時は国策で貨幣が大量発行される。
・貨幣大量発行時は物同士の格差が増大し易い。
・物毎の価値格差の拡大は貧富間の格差拡大に繋がる。
・結果的に貨幣増加は貧富格差をより一層拡大する。

6 コロナと格差の拡大
経済的混乱の異常事態が格差拡大する事を例示する。
コロナを例に給付金支給とワクチン接種を例に見る。

(1) 給付金と格差
コロナ禍では世界的にロックダウン措置があった。
外出自粛で働きたくても働けない状況が発生した。
その緊急援助として全員一律で給付金支給された。
全員一律だから平等で更に貧者ほど給付効果は大。
だが貧者の効果大は一時的で最終的に富者が富む。
富の推移過程を中国同等規模の国を仮定し解説する。

貧困10億人、中間1億人、富裕500万人の国を想定する。
仮に1人当り20万円給付金が支給されたとする。
支給後は数の多い下層階級ほど総額も巨額になる。
しかし下層の人は日々の食費や生活費で直ぐ消費。
また中間層も学費や家のローン等で数年内に消費。
富裕層だけは給付金以外の高収入で資産増が続く。
結局下層・中間層の支出が富裕層の資産増に繋がる。
この間の階層毎の資産経過の推移を表にしてみる。

1人当資産  貧困層  中間層   富裕層
給付開始前  50万円 2000万円 100000万円
給付開始後  70万円 2020万円 100020万円
給付数年後  50万円 2000万円 104400万円

階層毎総資産 貧困層  中間層   富裕層
給付開始前 500兆円 2000兆円 5000兆円
給付開始後 700兆円 2020兆円 5001兆円
給付数年後 500兆円 2000兆円 5220兆円

更に階層別に資産割合の推移を%で表記する。
総資産%  貧困層 中間層 富裕層
給付開始前 6.7% 26.7% 66.7%
給付開始後 9.1% 26.2% 64.8%
給付数年後 6.5% 25.9% 67.6%

支給直後に貧困層が一時的増するが最後は富裕層が増。
この給付金推移はあくまで仮定・想定の話。
でも各種グラフで判るが上下格差年々拡大は明白。
社会のお金の増加は最終的に富裕層を更に富ます。

(2) ワクチン接種
2022~2023年にかけての製薬会社売上資料がある。
2021年製薬会社売上ランキング

■2021年版 製薬会社世界ランキング トップ3はスイス・ロシュ、同ノバルティス、米メルクでした。昨年2位の米ファイザーは特許切れ薬事業を切り離したことで8位に後退。米アッヴィや同ブリストルは買収でランクアップしました。
2022年製薬会社売上ランキング
■2022年版 製薬会社 世界ランキング ファイザーが5年ぶりにロシュから首位を奪還 1位 ファイザー(約813億ドル) 2位 ロシュ(687億ドル) 3位 アッヴィ(562億ドル) 4位 J&J(医薬、521億ドル) 5位 ノバルティス(516億ドル)
2023年製薬会社売上ランキング
◆最新◆製薬会社 世界ランキング(22年12月期)  ファイザー  ロシュ  メルク 記事内で全26社のランキングを詳しく解説しています

製薬大手ファイザーは3年間コロナワクチンで売上激増。
2021年419億ドル→22年813億ドル→23年1003億ドル。
毎年200~400億ドル売上げを増やした。
つまり30兆円~60兆円を増やし続けた。
この売上げ増に日本はどれだけ貢献しただろう。
日本だけでなく世界中の国々が米国企業売上増に貢献。
ここでも「お金の集約と分配」が行われている。
日本政府は日本国民が稼いだ金の一部を徴税する。
その税金を原資に日本政府が米国企業から薬を買う。
国民の金→日本政府→米国企業
この結果日本の資産が減少し米国の資産が増加した。
現代社会は様々な名目で社会流通貨幣量を増やす。
その結果は一部富裕層や大手企業の利益増に貢献。

ショックドクトリンという20年前の名著がある。
NHKの「100分で名著」で堤未果が解説をしていた。
「ショックドクトリン」とは権力者による脅迫政策。
例えば米国同時多発テロでは米国人多数が不安増大。
その不安を利用し多くの法律を急いで策定した。
結果的に国民は不自由が増し国は権限が増した。
そして一部大企業は新制度で多額利益を享受した。
堤は自ら「堤未果のショックドクトリン」を著した。
堤は自著で「コロナショックドクトリン」を指摘する。
ファイザーはワクチン販売でアルゼンチンに条件提示。
・ワクチン副作用での訴訟費用は全てアルゼンチンが負担
・ワクチンに関する国際訴訟保険への加入
・損害に備え軍事基地・大使館・銀行準備金の担保要求
アルゼンチンは2要求は飲んだが国家根幹の要求は拒否。
国家安全さえ担保要求する製薬会社は正に強欲まみれ。

7 資本主義と格差拡大
これまでの話を再整理しながら総括してみたい。
社会は物とお金で成り立っている。
物の売買仲介のお金と物の価値付けのためのお金。
そして物は大別して大量品と稀少品に分けられる。
最も身近な食料品は大量にあり価格競争が激しい。
余ると廃棄せざるを得ない食料品は安価でも売る。
結果的に食料品等の大量品の価格変動は比較的小幅。
他方で稀少品は購入希望者が多ければ高騰し易い。
仮想通貨や知的財産等の増で見えない商品も増大。
そして近代化と物流量増大でお金は増大し続ける。
現代社会は世界中でお金が溢れる状態にある。
その中で物は大量品と稀少品に大きく分かれる。
大量品価格は値上がりが抑えられ稀少品は高騰する。
結果的に大量品と稀少品の価格差は拡大していく。

この話は物品売買の話だけに限らない。
人々の給料の価値付けでも格差の拡大が起きている。
不正な下請け値引きや不正検査問題に揺れるトヨタ。
トヨタの平均賃上げ率5%に対し会長報酬は62%増。
※「日経新聞」サイト 2024.5.14掲載記事
全トヨタ労連、平均賃上げ額1万4074円

トヨタ自動車グループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会は14日、2024年の春季労使交渉で平均賃上げ額が前年比1.4倍の1万4074円だったと明らかにした。比較可能な00年以降で最高になった。物価高騰などを受けて、取引先にも賃上げの動きが波及した。平均賃上げ率も5.08%と前年(3.67%)を大きく上回った。製造...
※「ビジネスジャーナル」サイト 2024.6.27掲載記事
不正続出のトヨタ、会長の報酬16億円に増額
グループ企業の相次ぐ不正に揺れるトヨタ自動車の会長、豊田章男氏の役員報酬(2024年3月期の有価証券報告書記載分)が前期比62.4%増の16億2200万円であることが議論を呼んでいる。

物も人も一部の稀少例外と平均的標準的な物を区別。
一部の稀少に高い価値付けしその他との扱いを区別。
結果的に一部だけが高騰し続ける事態が続く。
一部で高騰が続く事で格差は半永久的に拡大が続く。

物や人の一部の優遇措置は「宝くじ」と同じ仕組み。
宝くじ購入者や購入金額は年々増加してきた。
その結果宝くじの当選の格差は年々拡大した。
お金は集約と分配を繰り返す事で差が生まれる。
皆が拠出した金の分配で大金持ちが誕生する。
最初は1枚50円の宝くじは今は1枚300円で6倍に。
そして1等当選金は100万円から7億円で700倍に。
一方で宝くじの最低当選金はくじ1枚額と同額。
つまり宝くじは約80年弱で上下格差を100倍に拡大。
世界中で億万長者が増え続けるのも貨幣増が要因。
宝くじと同様に原資が増える事で分配も増える。
そして増えた原資の分配方法の決定権者は権力者。
社会の全てで底辺の大多数は宝くじの最低額。
そして上の階級ほど配当金額は増える仕組み。

私自身はこの仕組みに疑問を持つが他人はどう?
「宝くじ」がある事自体が「自分だけ金持ち」の夢。
人々は格差がある事を前提に自分の優遇を願望。
人は平等より自らの安泰を最優先に願うのが本能。
自分は他より良い暮らしをしたい気持ちは皆同じ。

私自身も極端格差に疑問を持ちつつ平等にも疑問。
実際に「平等」とは何かがよく分からない。
人は生まれながら長所、短所、個性で差がある。
当然ながら体格や男女や年齢でも差が生まれる。
それらを全て無視し皆平等にお金分配は不可能。
「働き者」と「怠け者」で差がある事は世の必然。
ただ普通に暮らして困らないお金に限度は有る。
誕生から死まで最大必要額は10億円も要るか?
(現在66歳の私なら1億円でも多いだろうが…)

物が増え続けお金が増え続ける社会は正に異常。
資本主義社会は進歩する事で成り立っている。
進歩が止まれば資本主義は終焉(専門家見解)。
資本主義社会では異常と判っても止められない。
資本主義とは資本を増やす事で成立する社会。
資本家は自ら利益を得るためお金を出すのだ。

世の中にお金が存在する事は格差と直結する。
世の中の全てのお金の配分が格差を決める。
世界中のお金の総額が問題でなく比率が問題。
仮に世界中のお金総額が1千から1万に増える。
そして1千のうち貧困100で富裕900と仮定。
その場合の貧富比は1:9になる。
その後1万のうち富裕9500で貧困500と仮定。
すると貧富比は1:19に拡大する。
貧困層は100から500に5倍増加している。
一方で富裕層は900から9500に約10倍の増。
結果的に富裕と貧困の格差は約2倍に拡大。
貧困層も数字的には増えている。
だが富裕層は更に増えるため貧富差が拡大。
貧富差が拡大し商品毎の価格差が拡大する。
格差で貧困層は土地建物の入手は困難になる。
格差で貧困層は高学歴社会適応が困難になる。
社会に出回るお金が増えるほど全ての格差拡大。

私には異常を正す解決の為の方策が分からない。
税制改革やデノミ(通貨切下)方策は有るが困難?
人々の様々な意見の一致を得るのは正に至難。
人々は皆が最低限として自らの幸せを望む。
自らの幸せの為に他国や他人の事は二の次。
格差拡大が人々の不満を高め社会不安を拡大。
社会不満拡大と共に過激な権力者が支持される。
それが今の米国大統領選挙に反映されている。

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