5月31日(火) コール君の話

朝5時頃に私はテントを抜け出た。
周囲を見渡してビックリ!
私のテントから2mほど離れた店先の床上に寝袋をかぶり人が寝ていた。
私がテントの収納をほぼ終える頃、その人は寝袋から起き上がってきた。
朝の挨拶を交わし、昨夜は寒くなかったか尋ねると、少し寒かったけれど大丈夫と答えた。

日本語を話すが、日本人ではない。
名前はコール。
出身はニュージーランド。
年齢は18歳。
二度目のビックリ!
昨日は何処を出発したのか聞くと、43番明石寺を出発したが、ここまで来るのに疲れて、テントを張るのを止めてそのまま寝てしまったと言う。
明石寺からここまでだと私が歩いた距離の約1.5倍!

更に色々尋ねると、
現在高校を卒業し大学に入学するまでの休暇期間を利用し日本には3月に来た。
遍路で88箇所全部の寺を、全て野宿で回る予定。
野宿で寺を回るのは所持金が少ないので節約するため。
66番雲辺寺には、自分の誕生日が6月6日なので6月6日に到着したいという目標がある。
昨日頑張って歩いたのは目標に近づくため。
目標をクリアできたら後はのんびりと歩きたい。
お遍路を全て終えたら、福岡の友人と一緒に福岡で行われるラグビーの試合を観る予定で、福岡まではヒッチハイクで行きたい。(無事ヒッチハイクで行けると思うか聞かれた。)
その後はヨーロッパに行き、旅を続ける予定。

ビックリ!の連続で、私はただ質問を繰り返し、以上の様な内容を聞き出した。
先日出会った台湾人女性の日本語力が9割だとすると彼の日本語力は7割程度。
大筋の話は理解できるが、適切な単語が出てこない場合がままある。
それでも18歳で独学で日本語を身に付けたと聞くと、やはり凄い。
話し振りもしっかりとした受け答えで、頭の良さと共に、一人で生きていくだけの力も身に付けていると感じた。

両親とは連絡を取り合っているのか尋ねると、メールでやり取りしているらしい。
ただ全て野宿の遍路なので、私の様に数日おきに宿でスマホや予備バッテリーを充電できる訳ではない。
通夜堂(寺に併設され野宿が許されている寺も一部にある)に泊った時に運が良ければ電源から充電している。
しかし通夜堂にも宿泊しているとは!
一体どれだけ日本のお遍路事情を事前に情報収集して来日したのだろう!
彼からは通夜堂という言葉しか聞けなかったが、多分無料善根宿も知っていて、一部の善根宿は風呂や洗濯もできるので、そこで何とかしていると推測した。
汚ならしい?印象はなかった。

私は、コールが発した問い「福岡まで無事にヒッチハイクで行けるか?」に対し、ヒッチハイク経験皆無のため「運が良ければ行けるのではないか」という消極的返事しか返すことができなかった。しかしその後「でも、君の日本を好きな気持ちはその菅笠と金剛杖で良く伝わると思うから、きっと大丈夫!グッドラック!」と言葉を継いだ。
本当は、彼の生きる力強さを持ってすればどんな困難もきっと乗り越えられる、と伝えたかった。
教えられたのは私の方だ。
彼の持つ逞しい勇気という力を。


野宿で一夜を明かした朝のコール


44番大宝寺で参拝するコール

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