お遍路で一周する四国のお寺の所在地は変化に富む。
四国の最南端足摺岬や室戸岬の突端に建つ寺、標高921mの寺を筆頭に標高700mを越えた所にある寺が5寺、88寺のうち最も近い寺間距離は0km(隣同士)で最も遠い寺間距離は85km、人家のない山奥や海沿いの寺もあれば、住宅街や都市の真ん中にある寺もある。
次に四国お遍路ルーツの伝説を紹介したい。
「その昔、修業で四国を巡っていた弘法大師は、現在の愛媛県松山市のとある屋敷の門前に立ち托鉢をしていた。その屋敷の主人は衛門三郎という名の長者で、身なりの貧しい大師を追い払い、大師が持っていた鉄鉢を8つに割ってしまう。その後、三郎の8人の子供たちが次々に命を落とす。三郎は大師に対しての自分の行いを悔い、大師を求めて四国を回り始める。20回ほど回っても大師に出会うことができず、逆のコースで回り始めた。しかし四国霊場12番焼山寺近くで行き倒れてしまう。意識が遠のくなか、大師が現れ、改心した三郎を許す。そして最後の望みとして「かなうなら領主の家に生まれ変わりたい。そして民衆のために尽くしたい」と言い残す。大師は小石に”衛門三郎再来”と書き三郎の手に握らせた。その後伊予の領主河野家に男の子が生まれ、子供の手から”衛門三郎再来”と書かれた小石がこぼれ落ちた。この子供は三郎の生まれ変わりだと人々は驚き、この小石を安養寺に納めた。安養寺は石手寺と寺名を変え51番札所となった。」(横山良一著「必携!四国お遍路バイブル」2006年1月集英社新書より抜粋)
この伝説に基づくからなのか、徳島の1番札所から時計回りに香川の88番札所まで順回りに巡拝する(順打ち)よりも、時計と逆回りに巡拝する(逆打ち)遍路の方が3倍ご利益があると言われる。
今回私は順打ちで回る計画。
遍路道の多くの場所には「へんろみち保存協力会」が設置した標識があり大変有り難い。ただしこの標識は順打ちを意識した標識のため逆打ちだと見落とす可能性もあるらしい。更にルート上にはお遍路さんが道迷いしやすい箇所もあるようだ。
先に紹介した「だいたい四国八十八か所」(集英社文庫164頁)や四国遍路旅行記の名著と言われる「四国遍路」(辰野和男著2001年4月岩波新書138頁)の本文中でも記述されている44番札所大宝寺に向かう山道には道間違いしやすい箇所があるようだ。
今回の旅では「四国八十八か所めぐり」(2015年5月昭文社)を購入して付録の地図アプリをスマホのiPhoneに入れて道間違いしないよう旅したい。
ご利益よりも先ずは確実に旅を続けることを優先したい。