大峰奥駈道 4泊5日縦走旅 1日目 (R4.5.7)

3年前に大峰奥駈縦走にチャレンジしました。
その時は順峯ルート(熊野→吉野)を選択しました。
縦走2日目に膝痛のため行仙小屋でリタイヤしました。
今回は逆峯ルート(吉野→熊野)で歩く事にしました。
大峰奥駈道の一部は千日回峰行道と同じルートです。
以前NHKで塩沼亮潤行者の千日回峰行記録を見ました。
命懸けの修行の壮絶さに圧倒されました。
一度で良いので同じ道を歩きたいと思いました。
千日回峰行道は金峯山寺~大峯山寺(山上ヶ岳)です。
今回の逆峯ルートでは初日に通過する事になります。
それでは縦走旅を一日毎に振り返ります。

大峰奥駈縦走旅 1日目

令和4年5月7日(土) 大阪~吉野~小笹宿
天気 晴のち曇り 気温 20~25℃

0.縦走旅の序章

05:50 大阪の宿を出発(徒歩)
06:10 近鉄阿倍野橋駅
06:50 阿倍野橋発-吉野行に乗車
08:22 近鉄吉野駅・着

3年前の大峰奥駈旅の途中断念後に原因を考えた。
直接の原因は膝痛で歩行が困難になった事。
そして膝痛の原因の一つは水不足だった事。
そして身体の水不足は長期旅で身体自体が疲労。
つまり四国旅で疲労後に大峰旅した事も一要因。

そこで今回は大峰旅を最初に行おうと考えた。
また前回は大峰旅を3泊4日で計画した。
これはザック容量や事前準備の都合も関係した。
今回改めて計画してみて3泊4日は無理と考えた。
ザック容量の限度を超えるが4泊5日に設定した。
ザック容量を超える分はサブザックで対応する。
幸い大峰後の四国遍路でサブザックが必要となる。

そして旅の行程についても見直した。
縦走前日に熊野や吉野に泊まると宿代が高くつく。
また事前の食料準備でも近くにスーパーがない。
コンビニは食料種類が限定され融通が利かない。
旅の初日2日は新鮮な弁当やお握りを食べたい。
(3~5日は乾燥米やレトルト類が主体になるため)
そこで旅前日は大阪の安宿(1泊1600円)に泊まる。
宿近隣のスーパーで弁当や野菜等を買い出す。
翌朝6時前に宿を発ち大阪から吉野へ電車で移動。
8時に縦走旅を開始できれば大阪泊は良策と判断。

計画どおり5時50分に宿を発ち阿倍野橋へ。
6時18分発吉野行電車に乗車する計画だった。
ところが6時18分の電車が電光掲示されていない。
焦って駅員を探して尋ねた。
すると吉野行きで最も早い便は6時50分との事。
一体どうなっているの? 私は戸惑った。
そして気付いた…計画変更時の自分のミスを。
計画し直しした際に平日と土日の時刻変更を怠った。

GW期間に旅すれば航空運賃が割高になる。
そのため当初はGW明け後の出発を予定していた。
ところが航空券を予約する段階で驚いた。
GW明け後よりGWの狭間の航空賃の方が安い。
過去の天気傾向は早いほど良い天気傾向。
急いで旅行計画全体の見直し作業を行った。
その際に電車の時刻変更は完全に失念していた。
今回の旅では旅直前に様々な突貫作業をした。
急いで様々作業をしたため落ち度が心配になる。
とても嫌な予感を抱えての旅スタートとなった。
駅で30分待ち惚け6時50分発の電車に乗車した。

1.縦走旅の時間・距離・ルート

08:28 近鉄吉野駅
08:45 吉野山駅 (水補充3分)
08:58 金峯山寺 (参拝4分)
09:52 吉野水分神社 (参拝3分)
10:28 金峯神社 (参拝2分)
10:47 青根ヶ峰 (休4分)
11:16 試み茶屋跡
12:20 四寸岩山 (休20分)
12:52 足摺宿跡
13:32 二蔵宿小屋
14:39 大天井ヶ岳 (4分)
15:17 五番関 (6分)
16:44 洞辻茶屋
17:21 鐘掛岩 (1分)
17:48 山上ヶ岳 (3分)
18:25 小笹ノ宿 (テント泊)
[上り標高計2100m/下り標高計700m/歩時間10:00]

2.出来事

縦走1日目は舗装道歩きが多い。
スタートから金峯神社までが舗装道。
その後も登山道の中に舗装道が混じる。
一方で最低最高標高差1400m余、累積標高差2000m余。
累積標高差だけなら日本アルプス級。
特に四寸岩山、大天井ヶ岳、山上ヶ岳の急坂が辛い。
但し舗装道が多く緊張した時間帯は少ない。
水場が少なく吉野山駅で給水後は宿泊地まで無。
5日分食料を含むザック総重量約15kgは堪えた。
18時を過ぎ小笹宿に到着した時は疲労と安堵。

この日は途中で数人の登山者と出会った。
四寸岩山で休憩中は単独男性登山者と会話した。
彼は熊野から吉野に縦走中の登山者と出会った。
彼は順峯で熊野から吉野へ向かう最終日だった。
私も単独男性登山者と出会い挨拶だけ交わした。
元気の良い人で多分同一男性だと思った。
彼が私の予定を尋ねたので逆峯で吉野までと話す。
彼は大峰奥駈縦走登山者が多い事に感心していた。

小笹宿到着時にも単独若者男性と出会った。
彼は今日と明日の1泊2日の登山計画との事。
当初は明日吉野に向かう計画を考えた。
しかし時間的に洞川の変更を検討中との事。
大峰山脈登山道は各種ルートがある事を再認識。

今旅では暑さと寒さの両対策に気を遣った。
日中は暑い事が多いが夕暮れ後は寒さが増す。
この日は当初小屋内で宿泊しようと思った。
しかし汗がひくと共に身体が冷え出した。
扉が壊れた小屋は夜間更に寒くなりそうだ。
急遽小笹宿前の平坦地にテントを張った。
テント内の方が寒さを凌ぎ易いと考えた。
3シーズン用シュラフで寝たが少し寒かった。

そして夜間の就寝中に異常事態が発生した。
テント内に水滴が発生し始めたのだ。
今まで経験した事のない事態に困惑した。
しかし夜間のためそのまま就寝し続けた。

3.写真記録

吉野駅から大峯奥駈道縦走旅へ

ケーブルカーの千本口駅脇の小道へ

国宝の金峰山寺蔵王堂(本堂)

修行僧と擦れ違いました

途中のトイレの手洗い水は飲水不可

暑い日の癒やしとなる絶景

水分神社の境内

金峯神社

弘法大師 熊野への道

青根ヶ峰

時々登山道から舗装道に変わる

スロープレール?の脇を登る

足摺宿

二蔵宿前で男女が雑談中

祠の脇から登り道へ

当初はパス予定だった大天井岳山頂

女人結界門を通過

時々現れた鎖場や梯子場

洞辻茶屋を通過

だらにすけ丸松清店を通過

左側の鐘掛岩ルートへ

鐘掛岩

鐘掛岩からの夕景色

複数の宿坊が並び立つ山上ヶ岳・大峯山寺

大峯山寺本堂は土曜16時で閉門

山上ヶ岳から南へ進む道を眺望

南に向かう道を下る

小笹宿に到着

先ずは水場で給水

扉が壊れた小屋前でテント泊

4.ルート図

大峰奥駈道 4泊5日縦走旅 1日目ルート図(ヤマレコ)

[補足] 千日回峰行との比較と感想

手元に「人生生涯小僧のこころ」(塩沼亮潤著)がある。
本によると千日回峰行道は途中の山頂は通らず迂回している。
具体的には青根ヶ峰、四寸岩山、大天井ヶ岳の山頂を迂回。
なので今回私が歩いたコースは千日回峰行道と同一ではない。
同一ではないため断定はできないが山頂迂回は多少楽と思う。
しかし迂回した方が距離は少し長いと推測される。
本の千日回峰行道距離は片道24kmで私の歩行距離は18.5km。
私は金峰山寺から大峯山寺まで休憩を含め8時間50分要した。
うち休憩時間は約30分なので歩行時間は8時間20分。
本の中に
「最初の50日間を2日で1往復にしている」
「最初から1日1往復は健脚の人でもまず不可能に近い」
との記載がある。

「人生生涯小僧のこころ」の30~31頁

私の第一印象は健脚の人なら1日1往復はできると感じた。
私は自分を一応健脚の端くれ(健脚者の中の最下位)と思う。
私は今回約15kgのザックを担ぎ累積標高差2000mを登った。
ザックが軽量で更に1日1往復の帰路下り道なら歩けそう。
登り8時間、下り7時間の合計15時間なら達成可能と感じた。
ただしこれは1日限定で天気も良いという仮定の話。
また行者は118箇所の神社・祠で経を唱える時間が必要。
(仮に経を唱える時間を1分としても合計2時間になる)

実際の千日回峰行は私の仮定の話とは全く別次元。
千日回峰行はどんな悪天候の暴風雨でも必ず歩く。
千日回峰行はどんな体調不良で怪我しても毎日歩く。
この2点だけ考えても同じ人間ができる事と思えない。
それを9年間、千日かけて続けるなど想像もできない。
更に回峰行の最後は9日間の断食、断水、不眠、不臥。
9日間全く食べず、飲まず、眠らず、横にならず。
入行時には短刀を持ち万が一挫折したら自害する。
正真正銘の命懸けの行で私が軽々に語る資格はない。

今回は千日回峰行道と同一ではないがほぼ同じ道を体感。
今回の大峰奥駈旅の目的の一つは千日回峰行道の歩行。
千日回峰行道を歩行できただけでも意義ある初日だった。

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コメント

  1. appleberry より:

    千日回峰行というものがあることは知っていましたが、こちらで行われているのですね。
    すごいですね。のんびりのんのんな自分のハイキングとは、真逆な道行きにびっくりです。熊野古道というトレイルには行ってみたいなと思っていましたが、この道は、まったく知りませんでした。いろいろな徒歩旅をされている管理人さんですから、もしかすると、どこかのトレイルで出会うこともあるかもしれませんね。そのときは、よろしくお願いいたします。

    • takenamik1 より:

      appleberryさん、コメントありがとうございます。
      千日回峰行は10数年前?NHKで放送されるまで私も知りませんでした。
      初めて知った時は余りの凄さに俄には信じられませんでした。
      因みに千日回峰行は大峰山の他に比叡山で行われる行もあるそうです。
      ※ 参考 二つの「千日回峰行」--比叡山と大峯山

      二つの 「千日回峰行」。 ------ 千日回峰行(比叡山)。天台宗比叡山延暦寺の回峰行。7年。3万3千キロ余。北嶺大行満大阿闍梨。 志賀と京都にまたがる比叡山で行われる。天台宗の回峰行。平安時代に相応が始める。7年間。過去51人が達成。戦後は14人。深夜2時出発。260箇所で礼拝。約30キロ。6時間で巡拝。笠、白装束...
      比叡山の方の達成者数は過去51人で大峰山は過去2人だけの様です。
      熊野古道は大辺路、中辺路、小辺路などあり私は小辺路と中辺路のほんの一部を歩きました。
      大、中、小の順に徐々に山間部歩き区間が増す様で山歩きが増えるとアップダウンも増えます。
      appleberryさんの住所方面のトレイルもそうですが街道歩きや山歩きなど様々なコースを好みに合わせて歩ける工夫がされている様です。
      広い日本のどこかで偶然会う事もあるかもしれませんね。